●iPhoneさらに値上がりの可能性
しかしトランプ大統領は「米国製造業への投資は当然」としか扱わないかもしれません。依然として、世界最大規模の収益力を誇る電子機器であるiPhoneは中国で作られ、米国に輸入されているのです。
今回の米中貿易戦争はテクノロジーや知的財産(IP)の覇権争いといった背景も読み取れるため、単純な貿易不均衡だけがテーマとも言いきれません。
しかし、他の問題が解決されなければ、中国からの輸入品に関税がかかることになり、アップルは米国内での販売に大きなマイナスの影響をもたらされることになります。すなわち価格の上昇です。
ティム・クックCEOは2019年第1四半期決算の電話会議において、iPhoneの販売不振には「価格の問題」がある点を認めています。主に米ドルの上昇によって、米国以外の国でのiPhoneの価格上昇を原因だとしていますが、米国でのiPhoneの価格が上がれば、さらに販売が抑制されてしまいます。
それを避けるため、iPhoneは上位機種についてもインドでの生産が検討されていると報じられるようになりました。米国内にiPhoneの製造が移されるわけではありませんが、対中関税を当面避けることができる、というわけです。
一方、iPhoneの米国製造への移行をトランプ政権が大きなゴールとしたことは先述の通りですが、アップルとしては現実的ではないと考えているはずです。それを裏づけるようなエピソードがThe New York Timesによって報じられました。
この連載の記事
-
第317回
Apple
アップル初のApple Parkでの開発者イベント、初公開の「Loop Building」とは -
第316回
Apple
「Mac Studio」アップルの多様すぎる接尾語について考える -
第315回
Apple
アップル「Mac Studio」登場で生じる、ラインアップへの疑問 -
第152回
Apple
アップル「MacBook Pro」ポート増加は敗北なのか -
第151回
Apple
iPhone分解アートと、Appleが目指す未来 -
第150回
Apple
アップル新型「MacBook Pro」どの構成で買うべきか -
第149回
iPhone
アップル「iPhone 13」4つの魅力 -
第148回
iPhone
アップルiPhoneラインナップから浮かび上がる2つのこと -
第147回
iPhone
アップル製品ラッシュふたたび? -
第146回
iPhone
アップルはiOS 15で「時間の支配権」をユーザーの手に取り戻させようとしている -
第145回
Apple
アップル新型「iMac」驚きの電源 - この連載の一覧へ