アカツキが株式を取得し、新体制となったJリーグの名門チーム東京ヴェルディ。前編に引き続き、アカツキの考えるスポーツビジネス戦略とは何かを、共同創業者の塩田元規代表取締役CEOと、執行役員の経営企画部部長兼事業開発部の梅本大介部長に話をうかがった。
――アカツキにとって、スポーツビジネスとはどのようなものでしょうか?
塩田氏 アカツキという社名は”世界の夜明け”という意味を込めたもので、カラフルに輝く場所へという思いからロゴもカラフルにしました。
創業する時に、そもそもビジネスというものは人を幸せにするためにある。自分たちも幸せになるためにある、と考えました。多くの場合、お金や地位、名誉など、目に見えるものだけにフォーカスしています。そこで、僕たちは会社として、目に見えないものを大事にしよう。人の幸せは最後は心が決めるから、感情や心を一番大事にして経営しようという考えたわけです。
スポーツビジネスでは、短期で収益をあげることはできません。ですから短期的にはこの分野の参入は意味をなさないと言えます。ですが、我々は会社経営を10~20年の長期スパンで考えています。AIなどの技術が進化するほど、人間の労働時間は減ります。作業がなくなるので、エンタメ領域や体験で心が動くというところにお金が入るだろうという考えがあります。
その時に重要なのはファンがついているブランド、人が共感するブランドを自分たちが持っていることだと考えます。それがあれば、短期的にはゲームと比較すると利益は出ないかもしれないが、長期的にはビジネスとして成立します。そして、マネタイズをしっかりするというのは、アカツキが得意とするものです。その知見がスポーツビジネスの分野に入れば、ファンがすでについているものについてはちゃんとビジネスを大きくし、大きくなればより多くのファンが集まってくる、という好循環が回ることになります。