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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第26回

モデムをどこから調達するのか:

アップルがiPhone 5G対応で抱える問題

2019年01月24日 09時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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●クアルコムとの係争が5Gの問題に

 アップルもなんらかのタイミングでiPhoneを5Gに対応させるはずで、そのことにあまり疑いを挟む余地はないでしょう。しかし実現に向けては大きな障害があります。クアルコムとの係争です。

 アップルはiPhoneにクアルコムの通信チップを採用してきましたが、ロイヤリティの価格がデバイス全体に対してかけられている点を不服として是正を求めてきました。簡単に言えば「iPhoneの高付加価値化はアップルの成果だが、機能の一部であるはずの通信チップのロイヤリティを、iPhoneの総額に照らして設定しているのはおかしい」というのです。

 係争はいまだ解決しておらず、現在も裁判が続いています。裁判の過程で、アップルがiPhoneの通信部分について困難な状況に陥ったことが議会での証言で明らかになりました。アップルの役員の証言では、クアルコムを提訴したときから、iPhoneの通信周りの設計に関してクアルコムのアドバイスは得られず、チップの供給も止まり、難しい局面にあると語ったのです。

 ロイヤリティの金額が折り合わない相手に技術やアドバイスを提供しないというのはたしかに起きうる事態ではありました。しかし機能の一部とはいえ高速通信ができることはiPhoneの重要な構成要素の1つであり、設計に困難が生じてしまった点はアップルにとって非常に痛手といえるでしょう。

 アップルがクアルコムを提訴したのは2017年1月。同年発売されたiPhoneの半分はクアルコムではなくインテルのチップが採用されていました。2018年モデルになるとすべてがインテル製のチップとなり、クアルコムチップはiPhoneには採用されなくなりました。

 係争中の相手の製品を使わないのはさほど不自然ではなく、アップルがそうした判断をしたのかと思っていましたが、実際はクアルコム側から止められて、インテル製だけを使わざるをえない状況に陥っていたことがわかりました。

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