ATフォームファクターの原型となった
IBM-PC/AT Type 1のマザーボード
IBM-PC/ATにはType 1からType 3まで3種類の構成がある。
Type 1は6MHz駆動の80286を搭載し、オンボードで256KBのDRAMを搭載(512KBまで拡張可)、FDD×2のほか20MBないし30MBのHDDを搭載できた。正確な価格が見当たらなかったのだが、およそ6000ドル程度(おそらく20MB HDDのモデルだと思われる)とされる。
ちなみにType 1ではディスクリート部品の山、という感じになっており、マザーボードもかなり大型化している。これがいわゆるATフォームファクターの原型となった。
画像の出典は、IBM 5170 - Motherboard Revisions
拡張バスは、旧来の8bitバスに、さらに8bit分の追加データバスを拡張したような形状になった。この16bit幅のスロットをAT Bus、IBM-PC/XTまでで利用されてきたスロットをXT Busと呼ぶが、これは俗称であってIBMの正式名称ではない。このAT Busがその後ISA(Industry Standard Architecture)Busと呼ばれることになった。
XT BusとAT Busがどんなものか、というのは連載106回で解説したので繰り返さない。アドレスとデータを多重化している部分はあるにせよ、基本的には80286のアドレスバスとデータバスの信号そのまま、という話である。
DRAMは上の画像で言えば左上がそうだが、まだDIPソケットにDRAMチップを直接装着する方式である。128Kbitチップを36個(うち4つはパリティー)搭載可能で、これで512KBである。これ以上のメモリーは、ATバスに拡張メモリカードを装着する形で、理論上は最大16MBまで実装可能となっている。
もっともType 1の場合、BIOSにバグがあって最大でも12.3MBまでしか認識できなかったらしいが、当時こんな大容量メモリーを扱う用途はなかったので実質的には問題なかったらしい。
この連載の記事
-
第797回
PC
わずか2年で完成させた韓国FuriosaAIのAIアクセラレーターRNGD Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第796回
PC
Metaが自社開発したAI推論用アクセラレーターMTIA v2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第795回
デジタル
AI性能を引き上げるInstinct MI325XとPensando Salina 400/Pollara 400がサーバーにインパクトをもたらす AMD CPUロードマップ -
第794回
デジタル
第5世代EPYCはMRDIMMをサポートしている? AMD CPUロードマップ -
第793回
PC
5nmの限界に早くもたどり着いてしまったWSE-3 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第792回
PC
大型言語モデルに全振りしたSambaNovaのAIプロセッサーSC40L Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第791回
PC
妙に性能のバランスが悪いマイクロソフトのAI特化型チップMaia 100 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第790回
PC
AI推論用アクセラレーターを搭載するIBMのTelum II Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第789回
PC
切り捨てられた部門が再始動して作り上げたAmpereOne Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第788回
PC
Meteor Lakeを凌駕する性能のQualcomm「Oryon」 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第787回
PC
いまだに解決しないRaptor Lake故障問題の現状 インテル CPUロードマップ - この連載の一覧へ