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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第24回

来年「綱渡り」になりそうなiPhone:

アップルiPhoneビジネス転換のとき

2018年12月25日 09時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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●自ら築いた高い壁、iPhone 8

 そもそもiPhone XRの不調と貿易戦争は関係のないニュースではありますが、いずれもアップルにとってネガティブに反応している構造が見えてきました。

 あらためてiPhone XRが不調である理由を考えると、スマートフォン不況以上に2018年中頃から続いているiPhone 8の人気もあるかもしれません。

 iPhone 8はA11 Bionicプロセッサを搭載した4.7インチ、ホームボタンを採用する最後のiPhoneでした。ちょうどこの連載でも、iPhone 8の長期的な人気の予測については7月に指摘した通りです。機械学習処理をするニューラルエンジンを備え、ビデオ編集からARに至るまでの処理をいまだに上位に入るパフォーマンスでこなせる製品です。

 iPhone 8は、9月12日の発表会で併売モデルとしてラインアップに残され、100ドルの値下げをされました。64GBモデルのiPhone 8が、599ドルで販売されるようになったのです。これに対し、iPhone XRは、画面もプロセッサもカメラ機能も向上していますが、150ドル高くなってしまいます。

 しかも、iPhone XRには大きなサイズしか用意されていません。小型で人気のあったiPhone SEはラインアップから消滅し、サイズの面では実質的にはiPhone 8がiPhone SEの後継モデルと位置づけることもできます。

 価格とサイズの両方をおさえたいユーザーにとって、2018年にiPhoneを買い換えようとすると、iPhone 8がぴったりという選択に落ち着いてきます。

 数字が公表されていないので中身は分かりませんが、iPhone XRがトップセールスであるとはいえ、アップルの予想以上に、iPhone 8とiPhone XSシリーズが受け入れられているのかもしれません。

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