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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第489回

業界に多大な影響を与えた現存メーカー 互換機市場を形成したIBM-PC

2018年12月17日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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ビジネス向けのPC
IBM-PC/XTを投入

 さて、時計の針を少し戻す。初代IBM-PCとなったIBM 5150は無事に生産がスタートしたが、これに続いて設計チームに課せられたのは、「よりビジネスに向いたPC」である。具体的にはHDDの搭載と、拡張性の増加である。

 初代のIBM 5150の場合、マザーボード上に最大64KB分のDRAMソケットを搭載、拡張は64KBのDRAM拡張カードを装着する形であったが、なにしろ拡張スロットそのものが5本しかないため、ビデオカードとFDDのコントローラー、プリンターのI/Fを装着するともう残りが2スロットという苦しい状況だった。

IBM 5150のDRAMは右下に装着されている。よく見ると、4列の一番左のみはんだ付け、残りはソケットになっているのがわかる。16Kbitチップなので、最小では16KBということになるが、さすがに16KBではどうしようもないので、最小構成でも64KBにして出荷された。写真左上にあるのはカセットI/F用のDINコネクター(後述)

 それもあって、メモリーの増設にはIBM純正のDRAMカードではなく、AST Researchが出していたSiX Pakのような高密度のDRAMカード類が広く利用される状況だった。

これはDRAMを6バンク(最大384KB)とシリアル・パラレールポートを搭載するG-9 Six Pak Plusという製品の説明

 また、キーボードとは別にカセットI/F用のDINコネクターが用意されていたが、すでに時代はFDDであり、カセットI/Fを利用するのは一部のホビー向けに留まることになった。ましてビジネス向けとなると、カセットI/Fを利用することはまずない。

 こうした状況を鑑みて、まず拡張スロットを8本に増やすとともに、DRAMチップを64Kbit(初期型:後期型は256Kbit)に増強することで搭載メモリー量を増やした。またカセットI/Fはあっさり廃止された。

初期型IBM 5160のマザー。すべてのDRAMチップがソケットでの装着になっているのも、初代と異なる点である。ただ基板のメモリー回りなどのレイアウトは初代のものを踏襲しているのがわかる

 この新しいマザーボードを搭載するとともに、標準で10MBないし20MBのHDDを搭載することになったのが、1983年3月に発表されたIBM-PC/XTことIBM 5160である。

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