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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第488回

業界に多大な影響を与えた現存メーカー パソコンの元祖IBM 5100が誕生

2018年12月10日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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1981年に初のパソコンが発売
歴史に残る大ヒットに

 12ヵ月というのは、通常新製品を開発するには猛烈に短すぎる時間であり、しかも1981年1月に試作機を使ってデモを行なうという話もあったそうで、Project Chessのメンバーと、これに巻き込まれたマイクロソフトを初めとする多くの企業は、猛烈なスピードで仕事をしなければならなかった。

 通常IBMは製品を自前で製造するが、それでは時間とコストがかかりすぎるとEstridge氏は判断、かなりの部分を外部企業の標準品に頼った。

 例えばプリンタはエプソン、モニターは日本IBMの標準品、電源はZenith、FDDはTandonという具合だ。こうしたメーカーはProject Chessと協力して製品開発に携わることになる。

 最終的に1981年4月にすべての設計が終わり、そこから量産に入ったが、その量産すらIBMの社内の製造施設と外部の製造企業による競合となった。マザーボードはIBMのEndicott工場が応札したが、最終的に外部のSCIに委託が決まっている。

 実のところIBM社内で製造されたものは、North Carolina工場で製造されたキーボードくらいというほど、徹底したアウトソース化が行なわれることになり、結果最低価格で1565ドル(ただし家庭用TVとカセットテープレコーダーを利用する構成)、一般的な構成(64KB RAMとFDDが1台、それとIBM-DOSのセット)で2665ドルという、これまでのIBMからすれば驚異的ともいえる低価格での製品提供が可能になった。

これはビジネス用にFDD2台とIBM純正モニターとプリンターをセットにしたもので、価格は4425ドルとされた

 最終的にIBM 5150という名前がつけられたこの製品は1981年8月12日に発売される。この発売にあたってのコマーシャルも、またこれまでのIBMからは考えられないものだった。

 チャーリー・チャップリンの“The Little Tramp”をキャラクターに据えた(当然だが当人はもう逝去されているため、Billy Scudder氏が演じている)コマーシャルは評判になった。あまりに評判が良かったためか、その後も続編がいろいろ作られている。

 さて、結果は? というとご存知の通り、最初の1年だけで10万台を売り上げる大ヒットとなった。この続きは次回に。

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