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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第488回

業界に多大な影響を与えた現存メーカー パソコンの元祖IBM 5100が誕生

2018年12月10日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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SCAMPを発展させた
一体型コンピューターIBM 5100

 かくして1975年9月に登場したのがIBM 5100である。重量は「ほんの」55lb(25kg)まで減り、サイズもコンパクト化。16~64KBのRAMと32~64KBのROM、5インチCRT(これで64文字×16行の表示が可能)、QICテープドライブなどが一体化されたものである。

IBMが市販した初のデスクトップコンピューター「IBM 5100」

 おもしろいのはこのIBM 5100、APLを実行する以外の目的も考えられていたことだ。PALMプロセッサーは基本的にはマイクロコードベースであるが、このマイクロコードはSystem/370とSystem/3(*2)の命令セットエミュレーションが(完全ではないが)可能であり、「メインフレームやミニコン上で動いているプログラムを、デスクトップでお手軽に実行できる」というコンセプトである。

(*2) IBMのエントリレベルシリーズ。1969年のIBM 5410からスタートする一連のシステム。

 その意味ではデスクトップサイズではありながら、「パーソナル」なコンピュータとは言いにくい気もする。ただ1975年といえば、あとはAltair 8800IMSAI 8080くらいしか、パーソナルコンピューターと呼べるものはなかった時代に、IBM 5100の完成度は非常に高かった。

 なにより、IBM 5100は単体ですべての機能が入っていた(あとはプリンターだけ外付けすればいい)わけで、IMSAI 8080ではなくIBM 5100を「最初のパーソナルコンピューター」とする向きもある。

 ちなみにデスクトップコンピューターというジャンルで言うのであれば、HPが1971年から投入しているHP 9800シリーズが競合となるが、これはまた別の記事で解説する。

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