今回紹介するのはVRで化学の知識を用いてお題を解き、得点を競うシミュレーションゲーム「HoloLAB Champions」。TVショーのような雰囲気の中、さまざまな化学知識を試されるパズルゲームだ。開発は複数の賞で優秀作品への選出や受賞を経験しているVR脱出ゲーム「I Expect You To Die」のSchell Games。
プレイヤーはステージに上がり、自分の化学知識を発表すべく舞台に立つ。クイズショーのような雰囲気で、司会もシンプルながらオシャレな見た目。観客は脳みそだけのアバターとなっており、いかにも“未来的”な雰囲気が醸し出されている。
目の前にあるマニュアルを見ながら出されたお題を解いていく。答えはほとんど書いてあるのだが、読み解く作業がなかなか難しい。図なども入っており、比較的分かりやすくは書いてあるが、現時点ではすべて英語で記載してある(もちろん化学の知識があればそれだけ早く解決できる)。
正確にタスクをこなしつつ、早い時間で解決できればそのぶん得点は高くなる。合格点を出さなければ先には進めず、合格点を出した後も満点にたどり着けるように技を磨いていく。
化学の知識を競い会うコンテンツであるため、機器の使い方も問題として出題される。ビーカーやフラスコ、メスシリンダーなど、小学校や中学校の理科の授業で1度は見たことのある機器も多数登場。いつかの授業を思い出しつつ答えを導こう。
まずはビーカーの中の液体を所定の量に調整、秤にかけて数値と液体の量があっていればクリアになる。メスシリンダーやビーカーの目盛りの読み方などは現実のものと同じになっており、しっかりと目盛りを読まなければきちんとした量は測れない。
もちろん正確な値でなければクリアはできない仕組みだ。ある程度の範囲であれば許容範囲だが、正確でなければ点数は落ちてしまう。液体の量が許容範囲外だった場合、会場からブーイングを浴びせられたうえ、やり直しになってしまう。厳密な計測が高得点の近道だ。急がば回れ、である。
機器の使い方だけではなく、薬品を見分けるスキルを競うステージも。ビーカーに入れられた薬品を色と特徴で見分け、正面の台座に書かれた薬品名と同じ薬品を正しく配置すればクリアとなる。薬品の特徴はマニュアルに記載されているため、それを読み解いて答えを探していく。
中にはすべて同じ色をしており、パッと見ではまず判断できないステージも存在する。そんな時に使用するのはバーナー。薬品を燃やした際の炎の色で、どの薬品か見分けられる。「炎色反応」という言葉をご存知の方も多いのではないだろうか。
バーナーはスタート時には火が消えているため、まずは着火作業から。火のつけ方もマニュアルに記載があり、レバーをひねって着火棒を近づけ、タッチパッドを押すと火花が出て勢いよく火がつく。これでバーナーの準備は完了だ。手を炎に当てても火傷はしない親切設計なので、安心して作業しよう。
先が丸くなっている短い棒にビーカーの中にある薬品をつけ、バーナーにかざすと、炎がその薬品に応じた色を示す。マニュアルで炎の色と薬品の関係を確認し、どの薬品がどの名前なのかを当てていく。中には同じ色の炎を示す薬品もあるため、常温で液体か個体かなども視野に入れて考えよう。
ちなみに、ゲームをやめる際は左後ろにあるレバーを引いて退場する。メニューボタンなどを使わない、いかにもVRらしいユーザーインターフェースと言える。カバーを開かないと動作しないため、誤作動もない。
体験をしているとやたらと目に付く目の前のカメラロボットだが、じつはこのカメラで撮っている視点がデスクトップ画面に表示され、他の人がこの画面を見られる。従来のVRゲームではVRデバイスを装着している人が見ている画面をそのまま表示していることが多いのだが、この方式であればプレイヤーの動きを把握しやすい。観戦(?)にもってこいだ。
左後ろにあるモニターからいつでも視点は変更できる。客席からの遠い目線などでも見られるので好みに合わせて変更しよう。
化学の知識を学べる内容に特化した本作「HoloLAB Champions」はアメリカの教育省・教育化学部門などの支援を受けて制作されており、実際の教育でも十分に使用できる内容に仕上がっている。小・中学生の頃に理化の授業を真面目に受けていれば、序盤はマニュアルなど見ずとも簡単にクリアできるだろう。現実で実験用の機材を普段扱っている方や教育に携わっている人には、是非ともVRで体験していただきたいタイトルだ。
現実と異なる内容やミスがあれば、Steamのフォーラムでフィードバックもできる。現実で学んだ知識がストレートに活かせるVRゲームはそれほど多くないため、非常に貴重なゲームであるとも言える。化学が好きな人には是非ともオススメしたい。
©2018 Schell Games
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