ディスプレーメーカーのジャパンディスプレイ(JDI)が8月1日に戦略発表会を開催。同社では初となる個人向け製品(BtoC)の参入を発表した。市場参入後、3〜5年以内の収益化をめざす。ねらいは既存ドメインの活性化だ。「モノづくりからコトづくり」「ディスプレイからインターフェース」を掲げ、「定期課金ビジネスの導入」「社会的課題の解決」を謳い、「新生JDI」に意気込みを見せる。
●「ただの部品メーカー」脱却めざす
個人向け製品の例として、ヘルメットにオートバイの速度や位置情報を投影できるスマートヘルメット、鏡がディスプレーに切り替わり「数秒前の映像」を投影できるデジタルミラー、映像がわずかに浮きあがっているように見える半立体5.5型ディスプレーなどをコンセプトモデルとして発表した。発売日などは未定。
いずれも同社の技術をデモンストレーションするような製品だ。たとえばスマートヘルメットは車載用ヘッドアップディスプレー技術、デジタルミラーには液晶スイッチを備えたディスプレー技術、半立体5.5型ディスプレーには同社が17型8Kディスプレー向けに開発した「ライトフィールドディスプレー」技術を応用した。
製品はいずれもただ消費者にモノを売るだけではなく「コト」を意識する。たとえばスマートヘルメットは2020年に東京五輪の警護に応用するなど、社会的課題の解決につなげたいとする。半立体5.5型ディスプレーは、好きなキャラクターを有料でダウンロードするような定額課金ビジネスの導入を考えているという。
同社常務執行役員の伊藤嘉明CMOはBtoC参入について、同社が今後進んでいく新たな方向には「部品だけではない部分もやはり必要」と話した。
同社はソニー、東芝、日立製作所など国内大手のディスプレー事業を統合した企業。国内大手が相次いでBtoCから撤退する中、未来はあるのかと問われると、「撤退したのはちゃんとしたイノベーションを推進したものが出ていないからじゃないか。一消費者から見ると、やれるべきことをやってないんじゃないか。やれていれば、もっとわくわくできるはずだ」(伊藤CMO)と強気の姿勢も見せた。
参入の背景にはモバイル向けディスプレー市場の不安定さもある。