Apple Newsの先に「雑誌のNetflix」も見える:
アップルがiPhone「ニュース機能」に力を入れるワケ
2018年08月14日 09時00分更新
Texture買収との関係
Google Newsはよりトピックを追いかける趣向が強く、Apple Newsはどちらかというと媒体によるフォローの趣向が強い、という違いが見えてきました。ニュースアプリの方向性とともに注目したいのが、アップルのTexture買収です。
Textureは2010年にスタートしたアプリで、米国で200誌以上の主要な雑誌が月10ドルで読み放題になるサブスクリプションサービス。そのビジネスモデルから「雑誌のNetflix」と言われてきました。
このサービスを、アップルは2018年3月に買収しています。
2014年に買収したBeatsが持っていた音楽定額サービスを2015年に「Apple Music」として提供開始したことは記憶に新しく、Texture買収についても、音楽サービス同様、アップルのブランドとして展開するのではないかと予測できます。
ただ、その受け皿がどこになるのかは、議論の余地があります。
Apple Newsはニュースを扱っており、雑誌を発行している媒体の記事も既に流れてきています。定期購読プランを組み合わせることで、制限なく記事が読めるようになる体験を提供できるようになる点は非常に魅力的と言えます。
一方でアップルは、iOS 12で電子書籍アプリ・ストアも刷新します。これまでiBooks/iBookstoreとして提供してきましたが、これを「Apple Books」にリブランディングすることが明らかになりました。ここにTextureの仕組みも統合され、雑誌の最新版を常に読めるようにする仕組みを提供するアイデアもあります。
もう1つはApple Musicとの兼ね合いです。現在Apple Musicは、日本では個人プランを月額980円、ファミリープランを月額1480円で提供しています。
雑誌のサブスクリプションモデルを開始した際、Apple Musicと別の購読にするのか、Apple Musicに含まれる、もしくはオプションで追加できるようにするのかも注目しています。いずれにしても、2018年9月以降で、ニュースや雑誌の新しい読み方について、アップルが提案するのではないか、と予想しています。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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