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5万円の貝印低温調理器 安物との違いは静かな音と攪拌力

2018年06月30日 12時00分更新

文● 四本淑三

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動作音が静かで攪拌力大

 貝印は、動作音が静かなのだ。先ほどと同じステンレス鍋に、やはり4.5Lの水を入れてファンを回してみた。その動画をどうぞ。

 サンコーは「カー」という攪拌用のプロペラを回すモーター音が、常時している。鍋の中の水温ムラを防ぐためだが、低温調理は1時間、2時間と調理時間も長い。狭い部屋、静かな場所では、気にし始めるとかなり耳障りな音ではある。

 さらに大きいのが攪拌力の差だ。貝印、もうスタートからしてすごい。スイッチを入れると最初に水をかく「パシュ」という音がして、強力な水流が巻き起こる。にも関わらずモーターの回転音はほとんど聞こえない。ただ、さらさらと小川のせせらぎのような音がするのみ。なかなか風流(というか水流)である。

 ただ、あまりに攪拌力が強く、ヒーターの方にビニールの真空パックが吸い寄せられがちなのは困る。あとで気がついたのだが、メーカーでは高さ20cm以上の容器を指定している。しかし試した鍋は深さ18cm。水があふれるギリギリのところで、容器が小さすぎたのだ

 攪拌力が強いのは、20Lまでオーケーという大容量の水に対応しているから。もっと大きな容器で使って真価を発揮する製品なのだろう。サンコーのカタログデータに水の容量の記載はないが、攪拌力の差や水温の安定度を考えると、貝印までの容量は想定していないのではないか。

電動シーラーは水気に弱い

 ネガティブなところにも触れておくと、便利なシーラーにも弱点はある。水分を含むものは全然ダメ。電熱線でシーリングするため、調味液など水分の入った食材は密封できないのだ。ダメモトで試して、しっかり失敗したのが、この画像。

 脱気中にシーラーが水気(醤油)を吸い込み、ビニールパックをシールする部分まで及んでしまった。すると、もうダメ。熱をかけても完全に溶着しない。だから真空パックは不成立となる。

 それで専用パックには凹凸のエンボス加工が施されている。これで滲み出た水気をバッファして侵入を食い止め、脱気の際の気道確保をしようというもの。しかし、そこで止められる水気は、せいぜい肉汁程度で、調味液に浸した食材は上のような結果になる。

 このシーラーにはマニュアルモードもあり、手動でバキュームポンプを止めたり動かしたりすることもできる。これで水気を吸い込まない、ギリギリのところで止めればシールもできるのだが、うまくやらないと空気が残ってしまうので、結構加減が難しい。

 その点、手動の真空ポンプとパッキン付きの保存袋は、水分を含んだ食材でも脱気できる。ポンプは水気を吸い込んでしまうが、分解して洗えば問題ない。バキュームポンプには真空度は及ばないが、水気の多い素材のために真空ポンプも用意しておくと良いかもしれない。

 さて、この貝印の製品に5万円の価値はあるのかと言えば、あると思う。大きな容量の容器で、一度に何パックも調理できるし、長時間使っても静かでストレスがない。頻繁にある程度の量を調理をするのであれば、シーラーも毎日の調理の手助けになる。

 最初の1台として買うのであれば、同じ値段で1万円の鍋が付いてくるセット販売もある。決して安いとは言えないが、手早く確実に始めたいなら、おすすめできる。この製品にピッタリ合う鍋は、実際探してみるとなかなかないのだ。

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四本 淑三(よつもと としみ)

北海道の建設会社で働く兼業テキストファイル製造業者。

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