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業界人の《ことば》から 第297回

スマホとAR/VR/MRを開拓 10年節目にひかりTVが転換

2018年06月08日 12時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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スマホ向けコンテンツなどを製作

 板東社長は、具体的なビジネス戦略についても言及した。

 スマホ向けコンテンツ/アプリ市場の開発では、吉本興業と関西のキー局とが一緒になって、既存のコンテンツの配信だけでなく、新たな独自コンテンツの制作、配信をしている「大阪チャンネル」を紹介。「テレビ局同士がコンテンツを持ち寄って配信するのは難しいが、大阪チャンネルではこれを実現している。今後、北海道チャンネルや九州チャンネルなども考えていきたい」とする。

 またスマホユーザー向けに、IGポートと組んでスタートした「タテアニメ」についても説明。「スマホに最適化した縦のアニメを、アライアンスを組んで、制作、配信をしていくことになる」とした。

 さらにNTTグループとの連携では、NTTドコモと組んで、1月30日からスマホ向けの放送チャンネル「dTVチャンネル」を30チャンネルでスタートしたのに続き、ドコモ向けにひかりTVのサービスをカスタマイズし、配信することも予定しているという。

 新体感映像コンテンツでは、スマートスタジアムとして、元サッカー日本代表監督の岡田武史氏がオーナーを務めるFC今治と連携し、スタジアムのWi-Fiを使いながら、サポーターがその日の試合の最優秀選手を選出したり、隣のイオンモールで買い物をしてもらうようにクーポンを配布したり、独自映像を配信したりといった取り組みを紹介。

 また、昨年のアジア大会のアイスホッケーの試合で実施した、自由視点映像サービスも紹介した。自由視点映像では18台のカメラを設置して、4Kで撮影。視聴者はスマホに表示された映像をスクロールして、視点を変えて見られる。また、Kirari!を活用したフォトグラムサービスでは、NTTドコモとの協業で、アイドルグループのライブ映像を他会場に中継し、立体的かつ臨場感あふれるかたちで、フォトグラムとして見られる。そのほか、ドローンによる上空からの4K映像生中継を、ハウステンボスの花火大会で実施した例も示した。

 一方、新技術や新サービスの導入では、4K/8Kでの本放送開始にあわせた対応を検討しているほか、ひかりTV VF(バーチャルフィギュア)を開始。今後、1年をかけて、プロモーションをしながら広げていくという。すでに、ギタリストの布袋寅泰氏のバーチャルフィギュアを制作。ピックにスマホをかざすと、布袋氏が登場する仕組みだ。

 板東社長は「いろいろ苦労した10年であり、もうダメかと思ったこともあった。だが、多くの人たちの支援やサポートを受けてここまでこられた。これで終わりではなくて、これからもいい関係を構築して、新たなビジネスにつなげていきたい」とし、「テーマは、リボーン&エボリューション(生まれ変わって進化する)。今後、さまざまな独自コンテンツを作り、市場を拡大していく必要がある。エキサティングなおもしろいコンテンツをパートナーと一緒につくっていきたい」とした。

 10年目の節目を迎えたひかりTV事業が、次の一歩を踏み出した。

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