いまさら聞けないIT用語集の第6回にして、ついに一般的な用語ではなく特定の製品が出てきてしまったが、今回のお題はVROCだ。これをリクエストしたのは、アスキー編集部のつばさ氏だ。
さてVROC、正式名称はIntel Virtual RAID on CPUである。これが利用できるのは、今のところIntel X299チップセットを搭載したマザーボードのみで、Z370や2018年後半に登場という噂のZ390、あるいはAMDのプラットフォームなどでは利用できない。
なにをするものか? というと、複数のドライブをまとめてRAIDを構成できるミドルウェアである。メリットは、通常のRAIDに比べて圧倒的に高速という点に尽きる。一方デメリットは、なにしろX299でしか使えない上、入手がいろいろ面倒な点。あと、相対的に高価である。ということで、もう少し細かく説明しよう。
PCHがボトルネックとなり
SSDの速度がフルに発揮できない
まず下のような構図を考えてみよう。マザーボードに4枚のM.2 NVMe SSDがぶら下がっている構成だ。4枚は無茶だろう、という声も聞こえてきそうだが、Z370ならPCHからPCIe Gen3が合計24レーン出ている。
またマザーボード上にM.2スロットが2つある製品は珍しくないし、PCIeスロットにM.2 NVMe SSDを差すためのアダプターも多く市販されているため、不可能ではない。あくまでもこれは例ということで、ご理解いただきたい。
さて、PCIe Gen3 x4ではI/Fの帯域は約4GB/秒になる。昨今では、M.2 NVMe SSDの性能はこの4GB/秒に限りなく近い。先日発表されたSamsung 970 PROでは、シーケンシャルアクセスで公称3.5GB/秒と、実効性能もこれに近い。
このSamsung 970 PROを上図の構成にして、さらにRAID 0を構築すると、シーケンシャルアクセスは3.5×4=14GB/秒になるかというと、そうはならず、せいぜいが4GB/秒どまりである。
なぜか? SSDからPCHへはそれぞれ3.5GB/秒でつながるので、PCHはピークで14GB/秒で受け取ることになる。ただそれをCPUに転送する際に、DMI 3.0を経由することになるのだが、このDMIの帯域が4GB/秒しかないためだ。
DMI 3.0の実体はPCIe Gen3であって、x4レーンなので、ここが4GB/秒以上では転送できない。結局メモリーへの読み込み速度は4GB/秒に留まることになる。
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