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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第457回

いまさら聞けないIT用語集 RAIDのボトルネックを解消するVROC

2018年05月07日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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CPUに直結すると
今度はIRSTが使えない

 「PCHにつなげるから悪いわけで、CPU側のPCIeスロットに直結すればいいのでは?」というが次のアイデア。下図の構成である。

CPU側のPCIeスロットに直結する構成

 ビデオカードを使わないのであれば、これも1つのやり方ではあるが、実際は上手くいかない。これはRAIDのためのソフト(IRST:Intel Rapid Storage Technology)が、CPU側のPCIeに接続するストレージを管理してくれないためである。

 OSからはストレージとして認識できる「はず」(*1)なので、例えばWindowsのファイルシステム側でミラーリングやストライピングを構築するのは可能だが、こちらではRAIDの処理をCPUで行なうため、猛烈にCPU負荷がかかることになり、これがボトルネックになる。

(*1) 筆者もM.2では試したことがない。ただRAIDカードをCPU側のPCIeに装着する分にはちゃんと動作するので、おそらくOSからは認識できると思われる。

 インテルのチップセットの場合、昔からRAID処理のためのエンジンをチップセットに内蔵しており、これを利用してRAIDを構築する仕組みになっているが、上の構図ではエンジンにM.2 NVMe SSDが接続されていないので、IRSTでサポートできない。

 このように、既存のプラットフォームで多数のM.2 NVMeドライブを使おうとすると、いろいろ制約があることがおわかりいただけただろう。

CPU側にもRAIDエンジンを搭載して
ボトルネックを解消

 この解決策として、インテルがCore-Xにあわせて導入したのがVROCである。VROCの構造は下図で、一見CPU側のPCIeスロットに直結する構成と大差ないのだが、最大の違いはCPU側にもRAIDエンジン(Intel VMD)が搭載されたことだ。

VROCの構造。PCHだけでなくCPU側にもRAIDエンジンが搭載されている

 もともとCore-Xの場合、KabyLake-XベースのCore i7-7740XとCore i5-7640Xを除くと28レーンないし44レーンのPCIe Gen3をCPUから利用できる。

 28レーンのCore i7-7800X/7820Xでもビデオカード+M.2 NVMe SSD×3が接続できるし、44レーンのCore i9ならばビデオカード×2+M.2 NVMe SSD×3、あるいはビデオカード+NVMe SSD×7が同時接続できるため、RAIDを構築するには十分である。

 その場合、CPU内部に搭載されたRAIDエンジンでRAIDの処理をオフロードするので、CPUに余分な負荷がかかることもなく、高速にRAIDを利用できるようになる。

 このIntel VMDが搭載されているのはXeon Scalableファミリー以降なので、Kaby Lake-XベースのCore i7-7740XとCore i5-7640XではVROCが利用できない。

インテルの製品カタログより。VMDとはIntel Volume Management Deviceの略である

 余談であるが、4月末にインテルは製品変更通知を出しており、Kaby Lake-Xベースの2製品は販売中止になることが明らかにされている。今後仕様を変更しVROCを利用できるようにする可能性は皆無だろう。そもそも技術的にKaby Lake-XにはIntel VMDが搭載されていないので、そのままでは絶対に不可能である。

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