3年ほど前に10万円を超えるソニーの初のデジタルペーパーである「DPT-S1」を衝動買いした。あれから足掛け3年。今度は当初の品薄状態が多少緩和した2017年秋に後継モデルである「DPT-RP1」を衝動買いした。価格(7万9800円)的には初期モデルより約2万円ほど下がったようだ。
電子メモに保存機能を搭載したイメージのデジタルペーパー
最大の特徴は書き心地のよさ
デジタルペーパーは、ペン対応のiPad ProやSurfaceなどの商品と同価格帯だが、タブレットのようにネットワークを活用し、アプリで本体機能を拡張できるような高機能はない。
単に手書きしたデータをPDFフォーマットでデジタル化し、シンプルに内部ストレージに保存できる“紙とペンの置き換え”となる電子機器だ。

最新のBoogieboardである「Blackboard」(右)も筆記面のサイズは同じくらいだ

筆者が使っているほぼ同一画面サイズの手書きデバイス。左からデジタルペーパー(旧)、デジタルペーパー(芯)、Blackboard、iPad Plus 12.7 使い方や目的が異なるので単純比較はできないが、手書きデバイスは最低でもこのくらいのサイズは必要だ
あえて言うなら、保存機能のない最新のBoogie BoardのA4サイズ「Blackboard」に保存機能を拡張した“プラス商品”のような商品イメージだ。
そう考えると現代の一般的なICT系クライアントユーザーが先を争って購入する対象にはなかなかなりがたい。
しかし、デジタルペーパーの差別化はそんなところにはある訳ではない。新旧のモデルに関わらず、ひとたび付属の専用ペンで筆記してみると、その筆記感覚は“素晴らしい”の一言だ。
iPadなどのガラス面の上を気持ち悪く滑るペンの嫌な感覚とはもう10倍も20倍も違う。いや違うと感じる人だけが注目するアイテムなのだろう。それでも実際に購入する段になると、値段を見て驚き、二の足を踏むのがソニーのデジタルペーパーという商品だ。
スペック的にはグレードダウン!?

新旧比較してみると、まず本体カラーが黒から白に。UIの雰囲気が変化したが、これは好き好きだ。慣れのせいか筆者は以前のUIの方が好きだ。スタイラスはホルダークリップ(旧)とマグネット(新)が違う
今回の商品は新旧のモデル間に数多くの相違点がある。普通、新しいモデルとの相違点と言えば、多くのユーザーは旧モデルからの改善点や改良点を思い浮かべるのが一般的だが、今回は人によってその捉え方はまちまちだ。
まず、新モデルの専用スタイラスペンはアップルペンシルと同じように面倒な充電式になった。加えて旧モデルでは背面にあった内蔵のmicroSDカードスロットがなくなった。

任意のPDFファイルを表示して、追記や修正などの編集作業は一般的な使い方だ

米国では一般的なレターサイズのリーガルパッドとデジタルペーパーにほぼ同じ内容を書いてみた。一般的に電子ペーパーデバイスは紙同等の密度では収まりにくい場合が多い。デジタルペーパーは、ほとんど紙感覚で筆記できる
そして筆者にとって愕然だったのは、内蔵のWi-Fiを利用して、自宅のWi-FiルーターやWi-Fiモバイルルーター経由でクラウドサービスに直接手書きデータをアップロードできなくなったことだ。加えて従来は内蔵されていたブラウザーアプリがなくなった。
一般的な感覚からすれば、後継モデルは機能拡張版ではなく、機能縮小モデルの廉価版のように感じてしまう。しかし、実際にはすでに旧機種は生産終了と明記されているので、併売モデルではなく、明らかに旧機種を置き換えるニューモデルなのだ。
メーカーの立場に立てば、各種の技術トラブル縮小やサポート関係時間の圧縮、筆記クオリティーの向上、生産コストの低減などを多方面から検討した結果なのだろうが、明らかにマニアックなガジェット路線を排し、個人ユーザーのノイズに流されることなく、学校や企業をはじめとする法人ユーザーにだけフォーカスし、大口受注の入札ディスカウント販売を前提にした商品になったような気がしてならない。
多くの台数のデジタルペーパーを独自のネットワーク環境で、サーバーとパソコンを介して組織で使うのに便利なスペックに再構成したのが新しい電子ペーパーのように感じてしまう。
最初に説明すべきだったが、デジタルペーパーは新旧どちらの機種も基本的には個人顧客ではなく法人客しか購入できない仕組みの商品なのだ。

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