Sandy Bridge以降のCore iシリーズは
すべてRing Busを採用
XeonではRing Busを廃した一方で、コンシューマー向けのCore iシリーズ(除くCore-X)については、Sandy Bridge以降Ivy Bridge、Haswell、Broadwell、SkyLake、KabyLake、CoffeeLakeではすべて、Ring Busを利用している。下図がその内部構造で、System AgentとGPUの間にCPU CoreとLLCを挟み込む形でどんどん数を増やしているのがわかる。
単純にコアを増減させるだけなら、Ring Busは共有バスと同じ程度に簡単に変更できるのが大きなメリットというわけだ。 ちなみにインテルのSkylake-SPやCore iシリーズで採用されているのは、いわば「擬似二重Ring」構成である。
下図は2コア製品の拡大図である。中央の黒い輪がRing Busで、これは一方向にしかデータが流れない。ただし、Ring Stop(赤い部分)に関しては、2つのコアは上りと下りの2方向につながっている。

Core iシリーズ2コア製品の拡大図
たとえばCore 1からみると、Core 2あるいはGPUに通信したい場合は下り方向に、System Agentに通信したい場合は上り方向にデータを流せば、最小のレイテンシーでデータが送られるというわけだ。
一見良さそうに見えるが、この方式では両端にあるGPUとSystem Agentは事実上Ring Stopが1つしかないわけで、たとえばCore 1とGPU、あるいはCore 2とSystem Agentの通信は短縮できない。もっと問題なのはGPUとSystem Agentの通信で、これはCPUコアの数だけレイテンシーが増えることになる。
この擬似二重Ring方式は、CPUの数が6個くらいが現実問題としては限界に近い(8個も実現できるとは思うが、やや性能へのインパクトがありそうだ)。したがって今後メインストリーム向けに8コアが普通に登場するようになると、多少構成が変わるかもしれない。
ただ4コア以下に関してはきわめて合理的な方法であって、拡張性をある程度無視できるなら最適な方法である。インテルがRing Busを使い続けるのはこのあたりが理由であろうし、逆にAMDはZenで当初から8コアを想定していたので、Ring Busは最初から考慮に入ってなかった、というあたりではないかと思われる。

この連載の記事
-
第813回
PC
Granite Rapid-DことXeon 6 SoCを12製品発表、HCCとXCCの2種類が存在する インテル CPUロードマップ -
第812回
PC
2倍の帯域をほぼ同等の電力で実現するTSMCのHPC向け次世代SoIC IEDM 2024レポート -
第811回
PC
Panther Lakeを2025年後半、Nova Lakeを2026年に投入 インテル CPUロードマップ -
第810回
PC
2nmプロセスのN2がTSMCで今年量産開始 IEDM 2024レポート -
第809回
PC
銅配線をルテニウム配線に変えると抵抗を25%削減できる IEDM 2024レポート -
第808回
PC
酸化ハフニウム(HfO2)でフィンをカバーすると性能が改善、TMD半導体の実現に近づく IEDM 2024レポート -
第807回
PC
Core Ultra 200H/U/Sをあえて組み込み向けに投入するのはあの強敵に対抗するため インテル CPUロードマップ -
第806回
PC
トランジスタ最先端! RibbonFETに最適なゲート長とフィン厚が判明 IEDM 2024レポート -
第805回
PC
1万5000以上のチップレットを数分で構築する新技法SLTは従来比で100倍以上早い! IEDM 2024レポート -
第804回
PC
AI向けシステムの課題は電力とメモリーの膨大な消費量 IEDM 2024レポート -
第803回
PC
トランジスタの当面の目標は電圧を0.3V未満に抑えつつ動作効率を5倍以上に引き上げること IEDM 2024レポート - この連載の一覧へ