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業界人の《ことば》から第285回

10年経ったら日本HPはPCメーカーではないかもしれない

2018年03月06日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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今回のことば

 「薄型、軽量のPCから、全長100メートルのデジタル印刷機まで、日本HPが取り扱っている製品は幅広い。10年経ったら、日本HPは、PCとプリンタのメーカーではなくなっているかもしれない」(日本HPの岡隆史社長)

1秒に2.7台のHP製品が売れている

 米HP Inc.および日本HPの事業が好調だという。

 HP Inc.の2017年10月期の売上高は前年比8%増の521億ドル(約5兆8000億円)、利益は37億ドル(約4300億円)となり、日本でも10四半期連続で市場全体を上回る成長を遂げ、企業向けPCでは20%を超えるシェアを獲得。ワークステーションでは45%、シンクライアントで43%のシェアを獲得しているという。

 「PC市場全体は減少しているが、HP Inc.はすべての地域、すべての事業で前年実績を上回っている。PCとプリンターをあわせた年間出荷台数は8700万台。1秒間に2.7台のHP製品が売れている」とする。

 PCおよびプリンティング事業を展開するHP Inc.と、エンタープライズ事業を展開するヒューレット・パッカードエンタープライズ(HPE)の2社に分割してから、3年目を迎え、成長軌道に乗っていることを示した格好だ。

 日本HPでは、事業を「コア」、「成長」、「将来」という3つに分けている。

 コアはデスクトップやノートPCなど、今日のビジネスを作るための製品群を指す。ここ数年の日本HPの代名詞となっているプレミアムPCやゲーミングPCもこの領域に含まれ、市場全体としては33兆円の規模が見込まれる。「現在のビジネスでは、売り上げの約9割がここから生まれている」とする。

 成長はカンファレンスに特化したPCや、2 in 1ノートPCなどの製品群である。高速インクジェットプリンターや、デジタル印刷機、大判プリンターなどもこの領域に含まれる。DaaS(デバイス・アズ・ア・サービス)といった領域にも取り組む考えだ。

 「汎用的なコンピューティングの技術を活用し、専用機として提供することができるものも含まれる。とくに、印刷業界におけるデジタル化のニーズは高く、より速く、よりきれいに、そして、より個別ニーズに対応した印刷も可能になる。デジタル印刷の広がりは、まだ緒についたばかりであり、10%以下の普及率に留まっている。日本HPにとって、大きな可能性を持ったビジネスになる」とする。

デジタル印刷機「HP PageWide Web Press T490 HD」

3DプリンターでNASAにも納品

 そして、将来は3DプリンターやウェアラブルのVRといった製品群だ。イマーシブコンピューティングと呼ぶ、没入型のコンビューティング環境の提案も含まれる。

 「今年はVRがいよいよ本格的に使用されるタイミングに入ってくるだろう。VRを実際に利用してみると、新たなアイデアが生まれてくることも多い。ショールームでの活用、住宅展示場での利用、教育分野での活用など、さまざまな領域での利用が想定される」と期待を寄せる。

 そして、3Dプリンターについても試作用途での利用提案に留まらず、実際の製品に応用するといった提案を本格化している。実際、同社の3Dプリンター本体には、この3Dプリンターで作られた内部部品が使用されており、しかも構成比は、50%にも達しているという。

 「NASAから無重力の宇宙空間で使用するプリンターを受注したが、特殊な用途であり、量産は必要がない。ここにも3Dプリンターで作った部品を使用している」とする。3Dプリンターを実際の商品化に活用するという点では、同社が市場をリードしているの明らかだ。

3Dプリンター「HP Jet Fusion 3D 4200」

 気になるのは、日本HPのコンシューマ領域での成長戦略だ。

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