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業界人の《ことば》から 第183回

分社したメリットはどこにあるのか

「日本にない製品を持ってくる」大規模な分社をしたHPの狙い

2016年02月16日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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今回のことば

  「分社してもなにも変わらない。プラス要素はすべて残して、そこに、さらにプラスαの要素を加えていくことになる」(日本HPの岡 隆史社長)

 米ヒューレット・パッカードは、2015年11月1日に、PCとプリンティング事業を展開するHP Inc.(HPI)と、エンタープライズ事業を中心とするHewlett Packard Enterprise(HPE)に分社した。日本では、それに先行する形で、2015年8月1日に、日本HPと、日本ヒューレット・パッカードに分社。すでに半年を経過した。

 日本で、PCとプリンティング事業を担当する日本HPの岡 隆史社長は、「分社までの期間、そして分社後も、社内が混乱したり、パートナーやお客様に迷惑をかけることなく、スムーズに業務が遂行できている」と振り返る。

 世界170ヵ国以上でビジネスを展開し、2015年度決算では売上高1034億ドルを誇ったひとつの会社を、ほぼ等分に分割した世界最大の分社化だっただけに、その取り組みは米証券取引委員会(SEC)も注視しながらの取り組みとなった。

 日本が先行して分社化した理由には、この世界最大の分社劇を成功させる狙いがあったともいえる。

段階的な移行が世界最大の分社を成功に

 8月1日付けでは、日本をはじめとする主要10ヵ国の市場において先行して分社。この時点で、全世界の売上高の7割程度をカバーするエリアでの分社が完了したという。これらの主要市場において、移行がスムーズに進められていることを確認後、続けて、9月1日付けで、残りの小さな国においても分社化を行ない、10月までの期間で、それぞれの国において、分社化した形で社内情報システムや、パートナーとの取引が問題なく稼働していることを確認した。そして、いよいよ、11月1日に、完全分社化を完了したという。

 つまり、11月1日に分社化したのは、米国本社だけであり、それまでに全世界規模での分社化を終了。こうした段階的な移行が、スムーズな分社化につながったというわけだ。

 分社化の作業が事業の推進に影響を与えないようにするため、各部門のキーマンを集めて、全世界400人以上の社員による分社化専任プロジェクトチームを発足。日本においても、それぞれのタスクにおいて、専任者を置いて作業を進め、それ以外の社員は、分社化については一切関わらずにビジネスを推進する体制を確立したという。

 そして、その間、日本においては、日本HPの社長に就任した岡氏と、日本ヒューレット・パッカードの社長であり、分社後も日本ヒューレット・パッカードの社長に就任した吉田 仁志氏が先頭に立って、主要なパートナーを個別訪問し、説明に当たったことも、分社化の作業をスムーズにした理由のひとつだといえる。

日本ヒューレット・パッカードの社長、吉田 仁志氏

 このとき、岡社長と吉田社長が発信していたメッセージは、「分社後もなにも変わらない」ということであった。

 もちろん、資本関係がない2つの会社に分社化するため、取引のためのシステム変更などの変化がともなうのは明らかだ。だが、「日本HPと日本ヒューレット・パッカードは、今後も、お互いにとって、重要なパートナーであることを確認している。日本HPから日本ヒューレット・パッカードの製品を仕入れることも可能であり、逆も同様。パートナーとの関係も大きく変わるものではない」と岡社長は語る。

 実は、米国本社では、「変わらないのが戦略である」ということを明言している。

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