その会社にはその会社ならではの働き方がある。みんなの働き方改革・業務改善を追う連載「私たちの働き方カタログ」の第20回は、モバイルルーターのレンタル事業「イモトのWiFi」を手がけるエクスコムグローバル。社員の海外旅行を支援する海外渡航手当について聞いた。
海外に行って、お客様の気持ちを知ってもらいたい
事業シナジーに結びつきやすい会社の制度は、社員にも浸透しやすい。社員の意識統一にもつながるし、制度としてのオリジナリティも出しやすい。これまでもペットの育休制度を持つアイペット損保や家族向けの制度を充実させたウエディングパークなどを紹介してきたが、今回は海外渡航手当を用意しているエクスコムグローバルを紹介する。
2013年から開始されているエクスコムグローバルの「海外渡航手当」は、1年間で上限5万円で海外渡航手当が出るという制度。社員だけではなく、勤務2年以上のアルバイトも対象となっており、利用者も多いという。
渡航者向けにWiFiルーターのレンタルビジネスを手がけている同社にとって、こうした制度は事業シナジーもある。エクスコムグローバル 管理部 マネージャーの吉田菜穂子氏は、「われわれが手がけているのは海外に渡るお客様にWiFiルーターを持っていってもらって、便利さを感じてもらうビジネス。だから、うちで働く人も渡航者の気持ちを理解してもらいたいということで始まってた制度です」というのが制度導入の背景だ。
手当は初めて行く国への渡航が対象。社員は自社サービスのWiFiルーターを持っていき、帰国したらレポートを提出し、全社員に共有する。「その国に行った知識や経験を仕事に活かしていくことを目的にしているので、初めて行く国が対象。自分が体感したことをお客様に伝えることで、仕事の幅も広がると考えています」(吉田氏)。実際に一部のレポートを見せてもらったが、単なる観光レポートにとどまらず、現地を歩き回る上で自社のモバイルルーターがいかに有効かを体感したといった内容で、仕事の幅を拡げる血肉となっているのがうかがえた。制度と事業のシナジーを実現した好例と言えるだろう。
家族的経営を重視し、若いメンバーを制度面で応援する
エクスコムグローバルはオーナー企業の特徴でもある家族的経営を重視していることもあり、今回取りあげた海外渡航手当のほかにも会社の利益を社員に還元する目的の制度がいくつかある。
たとえば、誕生日手当は本人だけでなく家族も含んでおり、一人あたり5000円を家族の誕生日ごとに支給している。これには家族に感謝を伝えるために利用してもらいたいという意図がこめられており、家族と食事に行くといった用途で利用されているようだ。また、出産手当は1回につき女性は100万円、男性は50万円も支給されており、出産に向けての経済的な負担を会社がサポートしている。
平均年齢28歳の同社では、特に若いメンバーがこうした制度のメリットを享受している。人手不足が深刻化するさなか、これらの制度は若者の採用や定着のための施策としても有効だという。
会社概要
テレビCMでもおなじみの海外用モバイルデータ通信サービス「イモトのWiFi」を提供するエクスコムグローバル。海外でも簡単に、安心してインターネットを利用できるよう、海外向けデータ通信業界のパイオニアとして、独自のビジネスモデルで新たな価値観を提供してきました。年間のサービス利用者は約100万人。1995年の創業から20年を経た現在も次々と新たなチャレンジを展開し、毎年130%以上の成長を続けています。
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