このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

業務を変えるkintoneユーザー事例 第16回

業務改善のノウハウがすごかった大阪のkintone hive

バス運行、訪問看護、IoT管理の現場でkintoneはどう活用された?

2018年01月25日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/Team Leaders

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

12月6日に大阪で開催されたCybozu Days 2017では、kintoneユーザーが自ら事例や業務改善ノウハウを披露する「kintone hive」が開催された。京阪バス、ほすぴす、オプティックスの3社のほか、kintone AWARDでグランプリを獲得した京屋染物店の蜂谷悠介氏も登壇し、会場から大きな喝采を浴びた。

1人では辛い業務改善の悩みをシェアするkintone hive

 大阪のkintone hiveに登壇したのは、kintone プロダクトマネージャーの伊佐政隆氏だ。ユーザー事例や業務改善ノウハウを参加者同士が能動的に共有するkintone hiveのイベント趣旨を説明しつつ、話題となっている働き方改革の広告を大阪弁バージョンで展開していることをアピールした。「働き方改革はツールだけでは踏み込めないので、働いている方が普段感じる疑問から共感を得て、kintoneに気づいていただくためにやっている」(伊佐氏)。

サイボウズ kintone プロダクトマネージャーの伊佐政隆氏

 Cybozu Daysという全社イベントの中のkintone hiveということで、サイボウズという会社についても手厚く説明した。伊佐氏は、「チームワークを向上させるものであえば、どれもグループウェア」というサイボウズ社内の定義を披露しつつ、グループウェアを使えば、効果・効率・満足・学習の4分類でさまざまなアウトプットを得ることができると説明。そのため、サイボウズ OfficeやGaroonはパッケージの形で、kintoneはドラッグ&ドロップでユーザーごとにカスタマイズしたアプリとして利用できる。

 しかし、kintoneは導入すればすぐに業務改善に結びつくというシルバーバレットではない。「業務改善をしようと思ってから、実際に成果が出るまで非常に長く苦しい旅が待っているはず。1人で悩むのはつらい、挫折してしまう。だから、アイデアとストーリーを共有し、改善の速度を早めて行きませんか?というのがkintone hiveのコンセプトです」。2015年、東京・大阪でスタートしたkintone hiveは今や名古屋、福岡など開催地を増やし、今では上海やベトナムなどでも行なわれるようになっている。

 また、2018年は業務改善のスキルを認定すべく、kintoneの資格制度がスタート。基礎スキルのAssociateを皮切りに、業務改善や開発のSpecialistやExpert、さらには総合スキルのBusiness Solution Architectなどが用意され、全国130箇所のテストセンターで受験可能になるという。

顧客の信頼回復に向けた施策を1ヶ月で実現した京阪バス

 トップバッターは京阪バス ICT推進部の大久保園明氏。京阪グループの京阪バスは創業95年となる老舗のバス会社で、京都・大阪・奈良・滋賀の二府・二都で路線バス事業を手がけている。営業距離は1日地球を1.7周する年間2500万kmで、旅客数も年間で6565万7000人にのぼる。

 同社がkintoneを導入したきっかけは、2年前に運転に関して乗客のクレームが上がったことだった。新聞沙汰にもなったこともあり、顧客の信頼を取り戻すため、ICT推進部は乗務員の運転を評価する「添乗査察」の効率化を考えた。具体的には紙を使った評価やフィードバックを、kintoneでリアルタイムでできるようにしたのだ。「私が2日間で構築し、1ヶ月のお試し期間内でユーザーや役員のレビューまで済んだ」(大久保氏)というスピード感で、1ヶ月後にはリアルタイムなフィードバックと事務作業の削減を実現したという。

 続いて検討しているのは、日本最古の定期観光バスである「京都定期観光バス」のアンケート案件。もともと紙でアンケートをとっていたため、15万人の利用者に対して全体の4%である6200人しか回答が得られず、入力作業にものべ26日間かかっていた。kintoneでアンケートをオンライン化することで、回答率を高めつつ、入力時間を削減し、さらにアンケート作成も効率化できると見込める。「こちらも試作は3時間でできました。日本語、英語、中国語も含めた多言語にも対応しています」(大久保氏)と語り、セッションを終えた。

京阪バス ICT推進部の大久保園明氏

添乗査察をリアルタイムでフィードバック

kintoneでアンケートをオンライン化し、回答率向上を進める

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事