2023年8月30日、ローコードツールで内製化を進め、人材不足の解消や人材育成に取り組んだ最新事例を紹介するセミナーイベント「kintone IT Special Seminar 2023」が開催された。今回はその第1部、基調講演「DX成功のカギはクラウド×現場人材の活用とITリーダーの覚悟」のレポートを紹介する。
IT人材を内部に抱えて開発するアメリカと、外部へ発注する日本
まずはサイボウズ執行役員営業本部長玉田一己氏がkintoneの紹介と日本企業が抱えるデジタル化の課題について語った。
日本企業がデジタル化にあたってソフトウェアを導入する方法についてのグラフが提示された。日本では受託開発でスクラッチから作る方法が88.3%で、パッケージ導入が11.7%となっている。一方アメリカは受託開発が53.8%で、パッケージ導入が46.2%にもなる。
続いて、IT人材がユーザー企業にいるのか、SIerにいるのかといったグラフが提示された。日本は72%がIT企業、28%がユーザー企業にいるが、アメリカをはじめ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランスは半数以上がユーザー企業に所属している。
これらのデータから、日本企業はシステムの開発や運用を外部のIT企業に丸投げしていることがわかる。ユーザー企業がIT人材を採用しにくいのは、日本ならではとも言える年功序列の終身雇用が原因だという。
「サイボウズが調査したところ、DXに取り組む際の課題として多かったのは、圧倒的に「人材不足」という回答でした。社内にIT人材が少ない中で、どうすればいいのか。ここからは蒲山さんにバトンタッチをしてお話しいただきたいと思います」(玉田氏)
レガシーシステムを廃止しDXに挑んだアルペンの歩み
続いてアルペン 執行役員 デジタル本部長 兼 情報システム部長 蒲山雅文氏が登壇し、同社のkintone導入事例を紹介した。
アルペンは元々ウィンタースポーツを中心に扱っており、創業50年を経て、現在は「SPORTS DEPO」「GOLF5」「Alpen Outdoors」という3つの業態が主力となっている。さらに、これらを複合した旗艦店を「Alpen TOKYO」として新宿にオープンしている。もちろん、蒲山氏が担当するEC事業にも注力している。
以前は、アルペンも冒頭で紹介されたように、IT人材が不足しており、システムを刷新する際はスクラッチで開発を外注していたという。
「小売業、特にスポーツという商材はとにかく業界の変化が早いという特徴があります。大企業は数百人規模のエンジニアを抱えて、完全内製化の体制を取っていますが、当社は95パーセント以上の社員がプロパーで構成されており、専門的な人材が育ちにくいというバックグラウンドがあります」(蒲山氏)
内製化しようと思っても、扱うデータ量が非常に多いことも悩みの種だった。SKUベースで1000万を超える商材を扱っており、400店舗で1000万人を超える顧客を相手に商売をしているため、日々、膨大なデータが飛び交っているのだ。そのため、長年使ってきたシステムは性能が劣化し、コスト増の要因にもなっていた。
2019年、蒲山氏が入社したころは、レガシーシステムが業務の中核を担っており、小売業の生命線であるデータの分析もすべてExcel帳票に頼っていた。一方で、アルペンは40代の社長を筆頭に、とにかく挑戦を好む社風があり、リスクはいいからやってみろ、とDXの推進を後押ししてくれたという。
「3年間かけてレガシーシステムの撤廃を進め、現在は発注から物流、販売までクラウド化したシステムが動いています。レガシーが担っていた大量のデータを蓄積・集計するところは、巨大なシステムが必要になるので、クラウドのデータウェアハウスを入れました。溜まったデータは定型レポート用と自由分析用に2つのBIを入れ、内製化しています。kintoneはこれらのシステムとETLツールで接続しています」(蒲山氏)
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第326回
デジタル
属人化の解消は多忙な“Aさん”を救うことから 切り札は「kintone×AI」を自然に使わせる仕組み -
第325回
デジタル
平均年齢60歳の現場を変えたZ世代女子 kintoneで電話・紙・入力をなくしたら、仕事が楽しくなった -
第324回
デジタル
暗黒の在庫管理を救ったチームの力は、専門システムとkintoneの共存で顧客向けサービスという新たな一歩を踏み出した -
第323回
デジタル
経営判断にAIの活用はもはや必須 日々の蓄積データから的確なデータを迅速に引き出すMCPの活用法 -
第322回
デジタル
東京タワー相当の紙を“完全撤廃” 点検業務をkintone化した“現場ファースト”な改善術 -
第321回
デジタル
街の制服屋さんだってまだまだ戦える kintone×ECで「地獄の繁忙期」の残業ゼロ、売上も倍に -
第320回
デジタル
「なんだ、できるじゃん」 1日でアプリを作るワークショップが変えた現場 -
第319回
デジタル
成功したはずのkintone運用が崩壊 みんなで育てるkintoneという答えを導き出した2日間 -
第318回
デジタル
紙の手続きが奪った「命の時間」 訪問看護ステーションがkintoneで実現した最短0日契約 -
第317回
デジタル
「新しいことは面倒だ」という保守的な社員の心をほぐし、社内DXを推進させたヒントはYouTubeにあった -
第316回
デジタル
「これもできないか」を聞き続けて膨らんだ450フィールド 迷宮化したkintoneを再設計した方法 - この連載の一覧へ








