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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第442回

年内にVegaの延長となる12LPのGPUをリリース AMD GPUロードマップ

2018年01月22日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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7nmプロセスのVEGAは
機械学習向け

 さて、次が7nm世代のVegaの話である。最初に登場するのはRadeon Instinct向けの製品である。

7nm世代のVegaは、Volta世代のキャッチアップを狙ったものだろう

 この7nm世代のチップは2018年中にサンプリングが始まることが予告されている。ただ、だからといって今年中に製品出荷が始まるという意味ではないだろう。

Radeon Instinctのサンプル出荷ではなく、GlobalFoundriesから7nmのVegaチップのサンプリングが2018年中に始まる、の意味だろうと思われる

 今回の発表は、あくまで製品の存在を発表したに留まっており、現実問題として出荷は2018年の終わりか、下手をすると2019年になると思われる。

 しかも最初はRadeon Instinct向けである。したがってコンシューマーグラフィックス向けは当然後回しとなる。既存のRadeon Instinctはいずれもビデオ出力を持っておらず、当然この7nm Vegaチップを使った製品もビデオ出力は持たないだろうから、「価格に目をつぶってGPUカードとして買う」という使い方もできなそうだ。

 この7nm Vegaに関しては、あわせて機械学習用のライブラリーも提供されることが明らかにされている。

機械学習用のライブラリーも提供される。MIOpenやROCmなどは以前から提供されていたため、ここにあるものがすべて新規提供というわけではないが、バージョンアップなども含んでいると理解すればいいだろう

Vegaの延長にあるであろう
5.5世代GCNのGPUが2018年に登場か?

 最後がロードマップである。今回提示されたロードマップが下の画像だ。念のために以前のものと比較していただくとわかるが、以前はVegaも14nm+(12LP)を使う予定だったので、7nmについてはVegaを最優先で投入したということになる。

Vegaは、12LPはスキップして、先に7nmに行くことを決断した形だ

2017年5月のロードマップ

 理由はなんとなくわからなくもない。NVIDIAのVoltaのキャッチアップには、とにかくCU数を増やす必要がある。そのためには12LPでは不十分で、先行して7nmを、ということだろう。

 今年中にサンプリング、ということはもうテープアウトは終わっているか、ほとんど終わりに近い状態でないと間に合わないわけで、そこから逆算すると昨年の早い時期にはこの決断がなされていた可能性は高い。

 さて、問題はコンシューマー向けの製品ロードマップだ。AMDはVega Graphicsに関して、デスクトップは既存のRX Vega 64/56を引き続き2018年も投入していくとしている。では、2018年にはGPUの新製品は出ないのか? というとそれも早計だろう。

 というのは、Mark Papermaster氏に「あなたはGTC(Globalfoundries Technology Conference)で12LPを使ったVegaを出すと発表しませんでした?」と誘い水をかけてみたところ「それは正確ではない言い方だ。私は、AMDが2018年にクライアント向けCPUとGPU製品を、12LPを使ってリリースする予定だと説明した」という返事が返ってきた。

 実際Globalfoundriesの12LPのプレスリリースにはPapermaster氏のコメントとして“We plan to introduce new client and graphics products based on GF's 12nm process technology in 2018 as a part of our focus on accelerating our product and technology momentum.”とある。

 ここで意味しているのは、AMDはVegaについては12LPを使う予定はないが、Vegaではない12LP採用製品を2018年中に出す、という言明である。

 「ではその12LPを使ったGPU製品はどうなっています?」と確認したところ「それはまだ説明するには時期尚早」という返事であった。

 ここからは筆者の推測である。技術的にはVegaの延長にあるであろう製品が12LPを利用して開発中なのは間違いない。Vegaの延長、というのは内部のCUの構造はおそらくVegaと変わらないと思われることだ。

 Vegaは第5世代のGCNであるが、この新製品はその後に開発に着手しているわけで、第6までいかない(第6世代はVega 7nmになるだろう)までも第5.5世代くらいの構造と思われる。

 ただし高価なHBM2は搭載せず、またHBCC(High Bandwidth Cache Controller)も内蔵しない。Vegaの動作にHBCCが必須ではないのは、Ryzen APUが証明している(こちらもHBCCは内蔵しない)。HBM2を使わないのであれば、HBCCも不要だからだ。その代わり相対的に廉価なGDDR6を利用することになると思われる。

 発表はおそらく6月のCOMPUTEXの前後、実際の製品リリースは7月になるのではないかと筆者は想像している。もっとも連載441回でも書いたとおり、第2世代Ryzenが4月に発売なので、そのあたりでプレビューが紹介される可能性もあるかもしれない。

 また、デスクトップ向けVega Mobileの投入もおそらくないだろう。このコアが32CUのVega 11に相当するものになると思われるが、デスクトップ向けには性能価格比が悪すぎる。こちらは引き続きモバイル向けのみであろう。

 唯一デスクトップ向けにありそうなのは、連載421回で説明した、Radeon RX Vega Nanoくらいだろう。あるとすれば、これがCOMPUTEXあたりのタイミングというところだ。

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