一般のユーザーの用途であれば
性能低下が発生することはあまりない
性能低下は特にI/Oで顕著である。たとえばGPUを利用するプログラムで、GPUのデータを読み込む(あるいはGPUにデータを少しだけ書き込む)というケースを考える。
大量のデータであれば素直にDMAをかけるわけだが、そのDMAの完了通知や、逆にDMAを始めるリクエストなどは、プログラムからデバイスドライバー経由でGPUに渡すか、GPUからデバイスドライバー経由でプログラムに渡ることになる。
Page Tableが一緒であれば、ドライバーとアプリケーションの間では原則としてデータ移動は発生しない。単に値が格納されたアドレスを受け渡せば済むからだ。
ところがPage Tableが別になってしまうと、もはやアドレスを受け渡すことができなくなる。したがってアプリケーションとドライバーの間で、データのコピーが発生することになる。このデータのコピーの頻度が高くなるほど、性能へのインパクトが大きくなる。
Postgresqlでの性能低下も、HDDをぶん回すSQLデータベースでの結果ということを考えると、確かにありえる数値ではある。あるいは加藤勝明氏のMentionについても、GPUをフル駆動させている状況としてはありえる話と言えよう。
今のところ、この影響を受けるのはインテルの投機実行をサポートする、しかもOut-of-Orderのマシン、要するにCore 2以降の全部(Atomについては古いものは大丈夫だろうが、Silvermont以降でも大丈夫かは確認できていない)と、ARMのCortex-A75が今のところ対象となっている。
ただARMの場合、アーキテクチャーライセンスを受けてベンダー独自にインプリメントした製品も多いので、今後対象が増える可能性もある。
また今回は挙げられていないが、IBMのPowerやMIPS、あるいはIBM/NXPのPowerPCなども潜在的には今回の脆弱性を持っている可能性があるわけで、このあたりは各ベンダーのレポートを待ちたいところだ。
性能低下がどの程度か、というのは一律にはいい難いが、多少なりとも影響があるのは事実ではある。前述の加藤氏のケースでは、FF14ベンチでのスコアーが21237→20400なので、4%ほどのダウンである。
とはいえ、一般のユーザーの使われ方であれば、Postgresqlほどの性能低下が見られるケースはそう多くはないはずだ。とりあえず最新のパッチは当てておくに越したことはないだろう。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第870回
PC
スマホCPUの王者が挑む「脱・裏方」宣言。Arm初の自社販売チップAGI CPUは世界をどう変えるか? -
第869回
PC
半導体プロセスの新たな覇権! インテルのDNNプロセッサーはAMDやMetaを凌駕する配線密度と演算密度 -
第868回
PC
物理IPには真似できない4%の差はどこから生まれるか? RTL実装が解き放つDimensity 9500の真価 -
第867回
PC
計算が速いだけじゃない! 自分で電圧を操って実力を出し切る賢すぎるAIチップ「Spyre」がAI処理を25%も速くする -
第866回
PC
NVIDIAを射程に捉えた韓国の雄rebellionsの怪物AIチップ「REBEL-Quad」 -
第865回
PC
1400WのモンスターGPU「Instinct MI350」の正体、AMDが選んだ効率を捨ててでも1.9倍の性能向上を獲る戦略 -
第864回
PC
なぜAMDはチップレットで勝利したのか? 2万ドルのウェハーから逆算する経済的合理性 -
第863回
PC
銅配線はなぜ限界なのか? ルテニウムへの移行で変わる半導体製造の常識と課題 -
第862回
PC
「ビル100階建て相当」の超難工事! DRAM微細化が限界を超え前人未到の垂直化へ突入 -
第861回
PC
INT4量子化+高度な電圧管理で消費電力60%削減かつ90%性能アップ! Snapdragon X2 Eliteの最先端技術を解説 -
第860回
PC
NVIDIAのVeraとRubinはPCIe Gen6対応、176スレッドの新アーキテクチャー搭載! 最高クラスの性能でAI開発を革新 - この連載の一覧へ











