2017年も終わりに近づくにつれ、中国メディアからはこの年の中国のITを振り返る記事が出てきている。デジタル製品に関する報告が興味深かったので紹介したい。
いわずもがな日進月歩でIT製品の性能は向上し、どんどん安い製品が登場してくる。中国もそれこそ筆者が中国に足を踏み入れた2000年代前半はそうだった。
ところが、少なくとも2016年から今年にかけては、スマートフォン、タブレット、ノートPC、デジタルカメラについて消費者の平均購入単価が上がっていると調査会社のGfkはまとめている。
2016年第1四半期から2017年第3四半期にかけての平均単価が、スマートフォンは1827元(約3万1500円)から2092元(約3万6000円)に、タブレットは2287元(約3万9000円)から2557元(約4万4000円)に、ノートPCは4271元(約7万3000円)から5102元(約8万7000円)に、デジタルカメラは4599元(約7万8000円)から5974元(約10万2000円)に増えた。
これにはトリックが混ざっていて、デジタルカメラでいえば、このカテゴリーにGoProのようなウェアラブルカメラや、ドローンも含まれているから、というのはある(今年はドローンが前年比の2倍以上売れたそうな)。
とはいえ、多くの製品カテゴリーについて高価格な製品が売れているというのもまた事実である。
スマートフォンはファーウェイ「HUAWEI P10」が人気に
スマートフォンは2016年人気だったOPPOやvivoのフラッグシップを抜き、ファーウェイの「HUAWEI P10」が売れたほか、iPhoneもその時々で変わらず堅調に売れている。
人気商品の価格が1000元から2000元、そして3000元へとどんどん高くなっている。小米(シャオミ)の1000元程度の低価格機種「紅米(Redmi)」シリーズなどが売れる一方で、フラッグシップの機種の価格は高くなり、それでも売れていく。
ノートPCは全体のうちゲーミングノートが占める割合が16%(2016年の1~8月)から23%(2017年の1~8月)に、薄型ノートは19%から31%に向上した。
最強のゲーミングGPUとの声高い「GeForce GTX 1080 Ti」搭載PCの販売量は、今年の3ヵ月刻みで見ても急増している。
また報告では、PC周りでは大型高解像度モニターやゲーミング用のモニター、タイピングに向いたメカニカルキーボードが売れているという。イヤフォンやモバイルスピーカーやルーターも平均単価が上がっているとのこと。
今年筆者は中国の都市をチェックした中で、各都市でちょっと高級で尖ったガジェットを集めた店が増えたと感じた。実際、調査レポートでもガジェットショップが増えたとなっている。
そうしたショップは、PC用では尖ったデザインのマウスや、ゲーミングキーボードやメカニカルキーボードが、スマートフォン用ではさまざまなBluetooth接続のスマート機器が売られている。
日本円で数千円から1万円を超すものが売られているが、それでも売れる算段があるからこそ出店ブームとなっている。
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