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私たちの働き方カタログ 第6回

ペットのための休暇や忌引き制度でアイペット損保が目指したもの

ペットを愛する企業文化を制度面で意思表示したい

2017年10月05日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/Team Leaders 写真●曽根田元

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その会社にはその会社ならではの働き方がある。みんなの働き方改革・業務改善を追う連載「私たちの働き方カタログ」の第6回では、ペット保険を手がけるアイペット損害保険(以下、アイペット損保)。ペットに特化した休暇や忌引き制度を用意しているアイペット損保 人事総務部長の中川裕之氏に聞いた。

アイペット損保 人事総務部長 中川裕之氏

人間と同じ3日間の忌引き制度を用意

 ペットに関する制度としてアイペット損保が用意しているのは2つある。1つは1年に2日間取得できる「ペット休暇」。特に用途を決めているわけではないが、基本的には自宅で飼っているペットと遊んだり、病院に連れて行くために取得できる休暇になる。もう1つは「ペット忌引」。こちらは家族(二親等)と同等の忌引き扱いである3日間が休暇として取得できる。ペットに3日間の忌引き休暇は異例の長さとも言えるだろう。

 実際に、ペット休暇を取得した山下氏は、2匹のわんちゃんといっしょに過ごしたという。2日間の使い方を聞くと、「1日は体調を崩しちゃったので、病院に連れて行きました。もう1日は普段お留守番がんばってもらっているので、お出かけしました」(山下氏)とうれしそうだ。子供と同じく、ペットの体調不良も急に起こるし、平日に取得すれば、休日だと混んでて行けない施設にも行けるので、非常に有効活用できるとのこと。実際、取得率も高く、制度が始まって1年で、ペットを飼っている社員のうち半数近くがペットと楽しい休暇を送っているという。

 ペットを病院に連れて行くのを理由に会社を休むのはとても気が引けるが、ペットに優しい制度がある同社は経営層も、周りも理解がある。ペット休暇の様子は社内報でも取り上げられるそうだ。「自分にとって、ペットは子供と同じ。そこを理解してもらえるのは、本当にありがたかった」と山下氏は語る。

制度の取得がお客様の気持ちの理解につながっている

 ペットに特化した休暇や3日間の忌引き休暇。ペット好きの多い社員の発案かと思いきや、こうした制度は「ペットとの共生環境の向上」「ペット産業の健全な成長を促す」という経営理念を根付かせるべく人事総務部が仕掛けたものだという。中川氏は、「ペットを愛する文化を会社として意思表示する意味合いがありました」と語る。

 ペットを対象とした保険会社とはいえ、全社員がペットを飼っているわけではない。中途採用が多いという状況で、新しい保険会社やベンチャーだと思って来る社員もいるため、ペット好きが高じて入社した人ばかりでもない。「ペットが好きで仕事にしたいと思ったら、普通はトリミングやペットショップの店員、動物病院などになりますが、弊社はペットを対象にした保険会社。飼いたくても飼えない人も含めて、社員全員が必ずしもペットを飼っているというわけではないんです」と中川氏は語る。

 こうしたバックグラウンドがさまざまな社員に経営理念に共感してもらい、「ペットを飼っている人に優しいという企業風土」を作るため、こうした制度を充実させていこうというのが同社の方向性だ。そもそも社内のバーベキュー大会にペットを連れてくるのが普通というカルチャーだけに導入の障壁はまったくなかった。「飼っていない人でもわんちゃん、ねこちゃんに優しくしたいと思っています。だから経営会議でも反対意見は出ませんでした」(中川氏)。

 そして社員がペット休暇を取ることで、ペットを飼っているお客様の困っているところ、不便に感じるところを理解できるようになったのは、大きな導入効果だった。中川氏は「うちの場合はこの制度が仕事につながっています。でも、普通の会社が導入しようと思ったら、やっぱり反発は大きいと思います」と指摘する。企業カルチャーに即しているだけなく、ビジネスにきちんと直結している点が導入成功の鍵と言えそうだ。

 昨年開始された制度だが、今年の鳥やうさぎ、フェレットの保険商品の募集を機に、鳥やうさぎ、フェレットにも取得対象を拡大した。次のチャレンジは職場へのペットの持ち込みだそうだ。もちろん実現しようとしたらさまざまな障壁はありそうだが、「たぶん反対意見は出ないと思います(笑)」(中川氏)とのことだ。

会社概要

アイペット損害保険株式会社は、2004年に設立した主に犬・猫を対象とするペット保険を提供する損害保険会社です。現在は東京本社の他、全国に営業拠点および事業所を展開しています。当社では、ペット保険の提供を通じて「ペットとの共生環境の向上とペット産業の健全な発展を促し、潤いのある豊かな社会を創る。」という経営理念の実現を目指していきます。

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