ASCII.jpでは、以前にヘリカル型核融合実験施設である核融合科学研究所を取材しているが、核融合実験施設にはヘリカル型以外の方式が存在している。
今回の取材先である国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 核融合エネルギー研究開発部門 那珂核融合研究所には、2020年から実験開始予定のトカマク型を採用するJT-60SAがある。そのJT-60SAを目前で撮影できたので、施設概要なども含めてレポートしていこう。
現状、核融合発電方面は、どの方式が最適であるのか、核融合を維持するのに必要な設計はどうなのかといった部分を探りつつ、そもそもよくわかっていないプラズマの基礎研究も進めている段階だ。
また直近では、おなじみのGoogleがTri Alpha Energyと共同で、核融合に関するアルゴリズムを開発しており、研究は順調のようだ。
最も多く建設され、研究が進んでいる
トカマク型核融合実験施設
核融合については「核融合炉に行って、炉に飛び込んできた!」の記事で解説しているので、そちらを参照してもらうとして、まずはトカマク型について見ていこう。
トカマク型はこれまでにもっとも多く建設された方式であり、また核融合研究が一番進んでいる方式だ。ヘリカル型と同じく、磁場封じ込め式に属している。
ヘリカル型は螺旋形状のコイルに電流を流し、磁場を形成しているが、トカマク型にはそういったものはなく、単純なドーナツ形状。容器内外にある3つのコイルと、プラズマ内を流れる電流でプラズマを封じ込める仕様だ。
フランスで建設中のITER(国際熱核融合実験炉)もトカマク型で、日本もこれに参加しており、量子化学技術研究開発機構は日本の国内機関として国から指定されている。JT-60SAの目的は、設定された技術目標の達成と、原型炉に向けたITERの補完研究、人材育成が主だ。
なお、ITERとは、ラテン語で「道」の意味を持つ。日本とEU、ロシア、アメリカ、韓国、中国、インドによる共同プロジェクトで、現在、フランスに実験炉を建設中だ。実験開始は2025年の予定となっている。