本記事で紹介するのは青海コンテナ埠頭だ。弊誌読者になじみ深い紹介をするならば、東京大江戸温泉の隣りにある青海南ふ頭公園から見える埠頭で、東京ビッグサイトでのイベント帰りに立ち寄って巨大なガントリークレーンを見たという人もいるだろう。最寄り駅はテレコムセンター。さらにいえば船の科学館も近いし、ビッグサイト・有明埠頭フェリーターミナルからもガントリークレーンを視認できる。
港ではよく目にする光景なのだが、これらの区域は、基本的に関係者以外立入禁止。この中ではいったい何が行なわれているのか、取材してきた。
そもそも東京港って?
日本の輸出入の99%以上は、船舶による運搬で行なわれている。それは日本が天然資源に乏しく、原材料を輸入して製品を輸出する加工貿易によって発展してきた証明でもあり、また海上輸送は低コストというのもある。現在の海上輸送は燃料系を除いて、コンテナ船による輸送中心になりつつ、都内であればゆりかもめに乗ってお台場や国際展示場へ行く途中に、その様子を見ることができる。いわゆる港であり、広域的に見ると東京港と呼ばれるところだ。
また横浜方面から川崎経由で羽田空港に向かう途中にも遠くに川崎港が見られるし、千葉方面であれば千葉駅から千葉港が近い。日本の主だった港は主要都市圏に隣接しており、東京と横浜、名古屋、大阪、神戸、博多が主だ。東京港が抱える取引量は、その中で2010年時点で約22.6%と大きい。
東京港の始まりは1603年の江戸湾の拡張整備から。実質的な開港は1941年からだ(黒船によって開港したのは横浜港)。急激な成長は1967年。日本初のコンテナバースが品川に建設されたことをきっかけとして、現在では、品川コンテナ埠頭、大井コンテナ埠頭、青海コンテナ埠頭、お台場ライナー埠頭の4拠点で機能するに至っている。なお東京港には客船が発着する晴海埠頭などがあるが、今回は工業ゾーン中心なので詳しくは割愛する。
日本一のコンテナ取り扱い量を誇る東京港
その一端を担う青海コンテナ埠頭
青海コンテナ埠頭は全長1570mの岸壁を有し、5バースが連続するコンテナ埠頭で、管理は東京港埠頭株式会社が行なっている。内訳としては、2バースは船社が占有する専用ターミナル、3バースは公共ターミナルと呼ばれ、山九と住友倉庫、伊勢湾海運、日本通運、第一港運の5社が共同利用している。取材として立ち入ったのは公共ターミナルで、岸壁長としては870mの区画。下記画像で構造を確認してもらいたい。
なお、青海コンテナ埠頭は関係者以外立入禁止。今回は特別に敷地内に立ち入らせてもらった。

上記写真の白線で囲われた部分が公共ターミナル。取材したのは右端エリア
公共ターミナルでは、国内外から来たコンテナ船に積んであるコンテナの荷降ろしと、そのコンテナをトラックへ載せる作業を行なっている。その逆に、埠頭にやってきたトラックのコンテナを降ろして、船に積み込むことも行なう。現在は、輸出よりも輸入の量のほうが多いので、船からの荷降ろしと空コンテナの積み込みが多い。
それでは、コンテナ船の荷物を積み下ろしする港の主役、ガントリークレーン(トランスポーター)から見ていこう。
船にコンテナを積み下ろしする、港の象徴
ガントリークレーン
重要港湾施設の大半に設置されているもので、大小を含むと日本の各地で散見できる。巨大なクレーンといってしまえばそれまでだが、間近で見ると無駄にかっこいい。巨大である理由は、コンテナをコンテナ船に搬入するため。またサイズの異なる船舶に幅広く対応する目的もある。
今回、じっくりねっとりたっぷりとチェックできたのは第0バースにある2011年8月に設置されたばかりの三井造船製橋形クレーン。揚程(ようてい)49.6m、吊り上げ荷重56.7t(定格荷重30.5t)のガントリークレーンだ。では地上からの様子を写真中心で見ていこう。
