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オフィスでの三種の神器の1つ、Acrobatが仮想化対応は大きい

企業利用が多いAcrobat DCの仮想化対応でワークスタイル変革は進む?

2017年08月30日 12時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

提供: アドビシステムズ

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時間や場所に縛られない「働き方改革」が日本でも注目を集めるようになっている。こうした中、普段会社で利用しているアプリケーションをネットワーク経由で利用できるシトリックスのクライアント仮想化製品に、Acrobat DCのサブスクリプション版が対応しました。これによってなにが実現するのか? シトリックス・システムズ・ジャパン マーケティング本部 パートナー&アライアンス マーケティングマネージャーのはが(つちへんに並)俊介氏に話を聞いた。

ワークスタイル変革に寄与するクライアント仮想化のメリット

 クライアントの仮想化とはOSやアプリケーションをデータセンターで実行し、ネットワーク経由で画面転送して利用するというソリューション。この分野を20年に渡ってリードしてきたシトリックスでは、アプリケーションを仮想化する「XenApp」と、デスクトップを仮想化する「XenDesktop」という2つのクライアント仮想化製品を提供している。

 こうしたクライアントの仮想化には、ネットワークがあればアプリケーションが利用できる、利用するデバイスを選ばない、画面しか転送しないので情報漏えいの危険性が低いと言ったメリットがある。アプリケーションとデバイスが分離されるため、セキュリティを確保しながら、ユーザーが好きなデバイスを業務で利用する、いわゆるBYODを実現できるわけだ。

「弊社ではBYODの補助制度があり、申請ベースで支給され、好きなデバイスを購入できます。その代わり、IT部門はデバイスの面倒を見てくれませんが、ほとんどの社員がそちらを選択します。やはり好きなマシンを利用できるのはいいです」

 クライアント仮想化に関しては、もともとセキュリティ対策や端末の管理の効率化というテーマで導入されていたが、最近はワークスタイル変革での有効性も認知されるようになっている。モバイルワークや在宅勤務などで、こうしたクライアント仮想化の技術を用いることで、柔軟性とセキュリティを両立することができる。

「ワークスタイル変革という観点では、会社や自宅で最適なデバイスを安全に使うことが求められるので、こうしたクライアントの仮想化が向いています。アプリケーションをさまざまな環境で利用できるというだけではなく、業務環境(ワークスペース)という仕事環境自体を仮想化することで、働き方改革に寄与します」

サービス化されるWindows 10とクライアント仮想化の相性

 シトリックスの場合、従来は特定アプリケーションでの用途が中心で、導入規模も小さかったが、昨今は全社的なワークスタイル変革のため、数千~数万規模のクライアント仮想化を導入する企業が急速に増えているという。特に歴史が長く、トータルコストでもメリットがあるXenAppはシェアも高いとのこと。さらにデスクトップ仮想化のXenDesktopを組み合わせることもでき、用途に応じた柔軟な展開を可能にする仕組みは、OSのアップデートが頻繁なWindows 10の時代に大きな意味を持つことになるようだ。

「Windows 10に関しては、機能アップデートと呼ばれる大きなアップデートが年に2回のペースで提供されますので、アプリケーションもこの高い頻度の更新に対応しなければなりません。これに対応するには大きく2つのやり方があります。1つはアプリケーションだけを仮想化し、OSとアプリケーションのライフサイクルを分離してしまう方法。OSアップデートのメリットを享受しつつ、アプリケーションは使い慣れているバージョンを使います。もう1つはXenDesktopでデスクトップごと仮想化してしまう方法です。これなら一気にBYODという先進的な使い方まで進めます」

 クライアント仮想化が進むと、データ管理という面でもメリットが出せます。ローカルのPCとクラウドのデータという2つを同期させるのではなく、クラウドにつねにマスターのデータがある環境を実現できるからです。データの整合性やバージョン管理、セキュリティの問題まで一気に解決できてしまいます。

「たとえば製造業の場合、ローカルのワークステーションに設計ファイルをダウンロードし、編集し、アップロードするだけで相当な負荷。さらにやりとりしている拠点が海外だったら、すべてのデータの同期は大変です。だったら、1箇所にまとめて、仮想化の画面だけ飛ばした方が圧倒的に効率がよいです。仮想化技術も進歩していますので、遠距離の転送でも実績ができています」

Acrobat DCのサブスクリプション版の仮想化対応がもたらす価値

 2017年1月、Adobe Acrobat DCのサブスクリプション版がシトリックスのXenApp/XenDesktopに対応した。これまでもAcrobatの永続ライセンス版はXenApp/XenDesktopに対応していたが、サブスクリプション版が対応したことで仮想化環境でも利用したライセンス分だけ支払うという合理的な利用方法が可能になる。

「多くの企業で利用しているアプリケーションを調べると、1つ目はInternet Explorer、2つ目はMicrosoft Office、3つ目には必ずAdobe製品が出てきます。ある意味、オフィス内の「三種の神器」なので、Acrobat DCのサブスクリプション版がXenApp/XenDesktopに対応したのは、われわれにとっても非常に歓迎したい話です」

 注目したいのは、ユーザー指定のライセンスでも利用可能という点です。これまでの永続ライセンス版ではインストールするPCの分、ライセンスが必要になっていた。しかし、今後はライセンスで指定されたユーザーであれば、どのデバイスでもAcrobat DCを使って柔軟な働き方が実現できるわけだ。

「今後、クラウドが普及することで、課題になってくるのが情報の管理です。クライアント仮想化は、ある意味セキュリティ対策として社内の情報を管理する価値を提供できます。でも、Acrobat DCはその上で外部のパートナーやお客様と情報を適切な形で共有するという価値を現実的に提供できると思います」

(提供:アドビシステムズ)

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