![](/img/2016/08/28/531152/l/12f1c832aca526ff.jpg)
ドイツのテクノ・バンド、クラフトワークがMoMA(ニューヨーク)、テート・モダン・タービンホール(ロンドン)、フォンダシオン・ルイ・ヴィトン(パリ)……など世界各地で展開した3Dライブの音源集だ。パッケージもブルーレイ、アナログLPレコード、CD、ハイレゾと、マルチ展開。
冒頭のAutobahn (3-D)を聴く。テクノの音響とリズムが快感的で体に染みいる。本来は立体のイマーシブ音響の音源だが、それをダウンミックスした2チャンネルで聴いていても、立体的音場の雰囲気を色濃く感られるのが不思議。ステレオ音場の横と奥の広がりが深く、リズム、ベース、シンセの歯切れがたいへんシャープだ。ハイレゾは、音の進行に透明な切れ味を与え、音の剛性感が高い。YMO的なピコピコサウンドは現代作品として、意外に新鮮だ。音場に隙間無く、緻密に音が充填されている。新鮮!
FLAC:44.1kHz/24bit
Parlophone、e-onkyo music
『Kimiko sings HIBARI~伊藤君子、美空ひばりを歌う(96kHz/24bit)』
伊藤君子
![](/img/2016/08/28/531152/l/12f1c832aca526ff.jpg)
美空ひばりのオリジナル曲と愛唱していたスタンダードナンバーのカヴァー集。あまりジャズ調にアレンジするのではなく、原曲の雰囲気を活かした編曲と歌唱だ。美空の演歌的な部分を省き、伊藤君子の音楽的なテクスチャーに添った、快唱だ。音もハイレゾ的なクリヤーでワイドレンジなものではなく、昭和風の中域中心のナローレンジで、音の立ち上がり下がりも俊敏ではない。良い意味での鈍さと甘さが昭和している。意図的な音作りの意図が伺える。バックのビックバンドも細部はよくわからないが、音の塊感は、本アルバムのコンセプトにとても合う。
WAV:96kHz/24bit、FLAC:96kHz/24bit
日本コロムビア、e-onkyo music
『Pure3 Feel Classics -Naoya Shimokawa-』
![](/img/2016/08/28/531152/l/12f1c832aca526ff.jpg)
下川直哉のゲーム、アニメ音楽の弦楽四重奏版を初めとしたクラシカルな楽器編成版だ。これぞ、現代最先端のハイレゾだ。伊藤君子のアルバムの次ぎに聴くと、昔を訪問していたタイムマシンが一挙に現代に戻ったような気分になる。一曲目、Feeling Heartは弦楽四重奏。ひじょうにクリヤーで、ワイドレンジ、音の立ち上がり、下がりが明瞭、明確な、まさに絵で描いたようなハイレゾリーションだ。3曲目「ありがとう」はピアノとチェロ。ピアノの打鍵感が確実で、チェロの朗々とした響きの透明感も格別だ。どちらの楽器も音像の輪郭が明確で、像自体も大きい。
WAV:96kHz/24bit、FLAC:96kHz/24bit、DSF:2.8MHz/1bit
FIX Records、e-onkyo music
![](/img/2016/08/28/531152/l/12f1c832aca526ff.jpg)
大賀ホールで収録された作品をこれまで多数、聴いているが、プロデュースや録音の方針によって、音調が大きく異なるのが、面白い。南紫音のピアノアルバムは、ロマンティックさをこのホールならではソノリティの豊かさ、グロッシーさで音表現していた。ウナマスの一連の大賀アルバムは、ひじょうに透明で、解像度の高さが聴けた。では千住/丸山コンビのブラームスはどうか。ホールの間接音の豊かさを強調するのではなく、ひじょうにしっかりと音像を近接で描き、ブラームスの峻厳で暖かな世界を表出している。艶は意外に少なく、ドライでストレートな響きの質が特徴だ。2017年3月28-30日、軽井沢大賀ホールでセッション録音。
FLAC:96kHz/24bit
UCJ Japan、e-onkyo music
![](/img/blank.gif)
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