予約殺到に納得!マジでスゴイAcerのMRヘッドマウントディスプレーを体験レビュー
2017年06月01日 10時30分更新
5月29日に予約販売を開始し、予約殺到のためわずか2日で販売休止となったAcerのMRヘッドマウントディスプレー(HMD)の開発キット。その気になるMRHMDがCOMPUTEX TAIPEI 2017にて体験できると聞き、さっそく体験してきました。
体験を受ける前に機器の説明があり、Acer以下、HPやレノボといったマイクロソフトと協力して作られたMRHMDは、先行して開発キットが販売されている「HoloLens」とは、やや異なるという。
上の画像は、左側から右側にかけて体験が現実からデジタルに近づくといった図。左上の短い横棒がAR(拡張現実)で、右側の短いのがVR(仮想現実)。その下のARからVRに届かない横棒がHoloLensで、一番下のVRからMR(複合現実)を少し超えた辺りまで伸びている横棒が今回体験したMRHMDという位置づけ。
私はHoloLensも体験したことがあるが、HoloLensはシースルー型で、常に現実世界が見えているところにデジタルデータを上乗せしていく。こういう言い方をするとARと何が違うの?ということになるが、ARはマーカーとなるモノの上にデジタルデータを表示させるだけだが、HoloLensの場合、一度空間をスキャンし、デジタルデータに置き換えた上で、そこにCGやウィンドウなどのデジタルデータを加えることができるため、ARよりも自由度が高い。
一方、今回体験したMRHMDは見た目通り、目の前は透過しておらず、映像はデジタルデータ。従来のOculus RiftやVIVEとの違いは、外部センサーを必要としておらず、内部のセンサーとトラッキングカメラ、また内蔵の3Dマッピングソフトにより、ユーザーの位置をトラッキングする。HoloLensと相互作用が実現するという噂もあるが、現状は3Dマッピングを行なうという、その差異をMRと表しているように感じた。この辺りの差異は、今後のコンテンツやハードウェアの詳細な動作によって認識も変わっていくことだろう。
MR(Mixed Reality)の解説動画
しょっぱなからテキストばかりではあるが、実はこの説明以降は写真NGだったため。映像は見せることができないのだ。実体験については、テキストオンリーになることをご容赦願いたい。
本体はトイっぽいが装着感は結構快適
本体は、プラスチック製で触った感じPC用よりもコンシューマーゲーム機の周辺機器のようなおもっちゃぽさを感じたが、わずか350グラムという軽さ、4万円というコスパを考えると、かなり頑張っているという印象だ。
体験部屋では、4つのMRHMDが用意されており、一度に4人で体験可能だった。ひとりづつオペレーターが付き解説を行なってくれる。最初にセンサーが内蔵されていて、ほかのVRHMD違い外部センサーは必要ないということと、複雑なセットアップが必要なく、すぐに使えることをアピール。実際に自分でセットアップしてみないとなんとも言えないが、特に起動に手間取ることなく、すぐにHMDの装着に移行できたので、かなり簡単に使えるようだ。
装着は、まずヘッドセットをフリップアップしておき頭に被り、頭の後ろに回したベルトを絞り固定。この際、額のクッションが当たり、割としっかりとしたフィット感を感じた。次にヘッドセットを下して視界がクリアーになるよう位置を調整する。最初やや戸惑いもしましたが、ちょっと動かしてみるとピタっと目の周囲にフィットし、かなり快適な感じ。
ちなみに、私は眼鏡をしているが、眼鏡をしたままでも特に違和感なく装着可能。Oculus RiftやVIVEでも眼鏡を入れて使うことができるが、たまに外す際に眼鏡が引っかかり、一緒に持っていかれることがあったが、このMRHMDでは、そのような引っかかりもなく、快適に着脱ができた。
重量も軽く、頭を動かしても圧迫感がほぼないのは、長時間使用の疲労軽減に期待が持てる。視界が塞がれてからコントトローラーを渡されたが、事前の説明で見た両手を使うコントローラーではなく、おそらくXboxOneのコントローラーのようだった。コントローラーの後にヘッドホンを付けられたが、こちらは見えないので、どんな製品かはさすがにわからなかった。
映像は今後に期待だがトラッキングは◎
映像は、デモ体験用の部屋といった感じのスペース。いくつかウィンドウが置かれていて、その場所まで移動し、ひとつづつデモを体験していく形。移動は、アナログスティックで前後左右に移動、LRボタンで左右へ90度ターンすることが可能。
MRHMDの解像度は片眼1440×1440ドットと、片眼1080×1200ドットのOculus RiftやVIVEより数値上は上だが解像感はほぼ同じくらい。ただし、やや映像が白みがかりクリアーではなかったため、今少しの調整が必要なように感じた。また、視野角はスペック上95度とのことだが、こちらはOdulus Riftなどの110度に負けており、実際にやや狭く感じた。
一方、移動時の映像の乱れや激しい酔いなどもなく、頭を振った際のトラッキングはかなりスムーズ。体験した部屋は、6畳一間もないくらいの狭さだったのだが、外部センサーもなく複数人数が体験していながらも、快適にトラッキングできる点は、現状のVRHMDよりも魅力的に思えた。
また、移動はコントローラー以外に、VIVEのルームスケールのようにVR空間を自分の足で移動することも可能。実際、3Dマッピングする範囲制限などがどれぐらいなのかは不明だが、VIVEなどのVRHMDなどのようにセンサー間のスペースに縛られないのであれば、アプリの活用の幅も広がりそうだ。
デモはかなり本格的!コンテンツ次第で化けるかも
HoloLensのデモで良く見る、選択した動物などの3Dモデルを指定の位置に置く体験も行なえた。任意の場所に置いたモデルは、近づくとかなり精緻でリアル。開発キットの段階で、Oculus Rift DK2以上の完成度を感じさせた。
その他には、ウェブブラウザーの表示、360度動画の再生も体験。動画は、最初に2Dで視聴し、その後360度に切り替えて映像を視聴。映像は、SF映画のような世界の動画で、爆発音などが左の遠くから聞こえたりと、音声は3Dの立体音響のように感じた。
また、一部移動するシーンがあり、ちょっと3半規管を揺らされる感じがしたので、慣れていない人は少し酔うかもしれないと思った。
体験時間は10~15分くらい。映像の見え方などは個人差もあるので、あくまで参考として欲しいが、価格を考えれば十分実用的。今後、ブラッシュアップされ製品化されれば、ハードウェアとしては、かなり魅力的な製品と言える。
懸念としては、現状のデモはマイクロソフトが用意しているのか、最初に見せられる映像としては、割と完成度が高いが、コンテンツを配信するプラットフォームの構築、パートナーメーカーが提供するアプリの充実など、いくつか心配事もある。
たとえば、汎用性のあるSteamVRのシステムをも取り込み、マイクロソフト独自のアプリ以外に、SteamVR対応ゲームもプレイ可能ということなら話は別だが、トラッキングシステムがそもそも違うので、その辺りはコンテンツの相互対応も難しいと思うので、そう簡単な話ではなさそうだ。
同社の新型XboxもMRに対応することを発表しているので、ある程度ゲームメーカーとのパートナーシップの話も進んでいる可能性もあるが、その辺りは、今後行なわれる米ロサンゼルスで開催する世界最大規模のゲームイベント「E3」や、「東京ゲームショウ」で明らかになることに期待したい。
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