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kintoneな人 第1回

キーマンが語る「現場ユーザー」「コミュニティ」「受託開発」「グローバル」

日本発グローバルの業務改善クラウド「kintone」の5年を伊佐PMに聞く

2017年02月16日 15時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

提供: サイボウズ

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北と南から全国に派生したkintone Café

 こうした現場でのユーザーや開発者たちによって生まれたのが、kintoneのユーザーコミュニティである「kintone Café(キントーン カフェ)」だ。2013年12月に第1回を開催して以来、全国での開催回数はすでに100回を超える。

 kintone Caféはサイボウズが運営しているわけではなく、まして仕掛けたわけでもない。あくまでユーザーが自主的に立ち上げた勉強会だ。きっかけはkintoneに惚れ込んだラジカルブリッジの斎藤栄氏がcybozu.com カンファレンス 2013に参加し、サイボウズとコンタクトをとったことから始まる。

「cybozu.com カンファレンスの懇親会で、kintoneの名前で勉強会をやりたいと言ってくれたんです。その後、実際に斎藤さんは地元の北海道で勉強会をやってくれたんですが、7人のおじさん達が黙々と勉強している写真を見て、衝撃を受けました。当時の私は、イベントの価値は参加人数だと思っていたので、『勉強会ってこれでいいんだ』と本当に驚きました」(伊佐氏)

北海道で行なわれた初めてのkintone Café(斎藤氏提供)

 その後、半年間のブランクを経て、開催された2回目に開催された齋藤氏の勉強会には、同じくkintoneに惚れ込んだ福岡の山下竜さんが参加。有給をとり、自腹で北海道の勉強会に参加した山下さんは、福岡に戻って、自らkintone Caféを立ち上げる。こうして北と南から生まれたkintone Caféは全国に波及し、ジョイゾーの四宮靖隆さん、元JAWS-UG代表の金春利幸さん(アールスリーインスティチュート)などのコアメンバーを中心に、多くの勉強会が開催されることになる。

ユーザーコミュニティはサイボウズになにをもたらすのか?

 一方のサイボウズ側はユーザーコミュニティの価値やつきあい方がわからず、戸惑っていたのというのが正直なところ。当初はサイボウズのメンバーが懇親会の飲み代を負担するという中途半端なやり方だった。結果、プロダクトの価値を多くの人が語ってくれるというユーザーコミュニティに真価に気がついたのは、JAWS-UGでのコミュニティマーケティングを成功させた小島英揮さんの影響だったという。

「当時、kintoneのプロモーションに大きな壁を感じていました。『チームワークプラットフォーム』と言ってもピンとこないし、『クラウドデータベース』というとなんだかIT色が強い。ユーザーはすごく喜んでくれるのに、その価値をうまく伝えられない。こんなプロダクトないよなあと本当に悶々としていました。自分たちのプロダクトの価値を説明できないだめな人間だったんです。でも、いろいろ考えた結果として、熱く語ってくれる人を増やすしかないことまでは理解した。そのタイミングで、小島さんのJAWS-UGの話を聞いて、なるほどこれだと気がついたんです」(伊佐氏)

 この結果、kintoneチームは、ユーザーコミュニティをkintoneの成長戦略に欠かせない要素と再設定し、マーケティング活動の一環としてコミュニティ重視を図った。また、金銭ではなく、人の支援を惜しげなくするという方向感でkintone Caféを盛り上げることにしたという。そして、製品のアピールに関しては極力コミュニティにゆだね、サイボウズは製品のブラッシュアップすることに注力した。「プロダクトを一言で言い切ることをあきらめ、コミュニティのユーザーに文脈を作ってもらう」という方法に切り替えていったのだ。

「kintone Caféって、最初に立ち上げたときに斎藤さんが作った理念があったんです。僕たちもその理念に則って、サイボウズとしてどうつきあうべきかを考えました。だから、kintone Caféという名前もコミュニティ側に渡したましたし、サイボウズの社員も勉強会に傍観者として参加するのはやめようというルールを決めました」(伊佐氏)

 一方で、サイボウズ側は勉強会に参加しないユーザー層に対するコミュニティイベントを展開する。「蜂の巣」から転じて熱狂的な場所を意味する「Hive」を名前に埋め込んだ「kintone hive(キントーン ハイブ)」がそれだ。こちらはkintoneユーザー同士のアイデア交換の場としてサイボウズ自体が主催しており、昨年6月に開催されたkintone hiveではサイボウズオフィスのスペースを使っても収容しきれない300人近い参加者を動員したという。ユーザーが主体的に参加するkintone hiveは、参加者の満足度もきわめて高く、通常のベンダーイベントと異なり、フランクな情報交換が実現しているという。

「kintoneはプラットフォームサービスなので、その上に載るアイデアがすべて。こうしたアイデアをユーザー同士が実務レベルで交換できる場ができつつある。kintone hiveも昨年は東京と大阪だけでしたが、今年は名古屋、福岡もやります」(伊佐氏)

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