このページの本文へ

連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 11月21日~12月28日分

来年のIT市場10トレンド、ランサムウェア身代金を支払う企業は何割、ほか

2016年12月20日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、調査会社などが先週1週間に発表したIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてざっくりお伝えしています。

■[市場]2017年、国内IT市場の主要10項目(IDC Japan、12/13)
・デジタルトランスフォーメーションを実現するハイブリッドクラウドとAPIエコノミーの拡大が加速
・「第3のプラットフォーム」への支出が従来型クラ/サバシステムへの支出に並ぶ
・IoT事業者の競争はプラットフォームから「データアグリゲーション」へ

 IDCアナリストによる2017年のIT市場予測。「デジタルトランスフォーメーション」が、あらゆる業界/企業において「全社的課題」と認識され、企業ITのあり方にも大きな影響を及ぼすようになる。そのほかにも「コグニティブ/AIの事例が多数登場」「AR/VRやロボティクス、3Dプリンティングなどが製造業の変革と国際競争力強化につながる」などの予測。ビジネスとITの関係やテクノロジーの急激な変化/進化が続くなかで、あらためて全体の方向性を押さえておきたい。

■[市場]国内エンタープライズITインフラ市場予測(IDC Japan、11/29)
・企業における従来型ITインフラからクラウドインフラへの投資シフトが鮮明に
・2016年の国内市場規模は7549億円、前年比-6.8%と予測
・2015~2020年は年平均成長率-2.8%で推移、7037億円まで縮小と予測

 サーバー、ストレージ、スイッチといったデータセンター製品を包含するエンタープライズITインフラ市場の成長予測。従来型ITシステム向けは2015~2020年の年平均成長率-8.0%の縮小、一方でクラウドシステム構築向けは同+14.7%の拡大と、対照的な動きを見せる。

国内エンタープライズITインフラストラクチャ市場予測、2015~2020年(出典:IDC Japan)

■[市場]国内コンバージドシステム市場予測(IDC Japan、12/6)
・2016年の市場規模は479億9,000万円、前年比+13.6%と予測
・2015~2020年は年平均成長率+13.8%で推移、804億6,200万円へ
・急成長するハイパーコンバージドシステムは、2020年に市場構成比35.9%へ

 いわゆる“垂直統合型システム”の「インテグレーテッドシステム」と、コモディティサーバーベースで「ハイパーコンバージドシステム」により構成されるコンバージドシステム市場の予測。2016年は「スモールスタート」「柔軟性/拡張性」という特徴を持つハイパーコンバージドシステムが、前年比+128.1%の急成長。今後も成長が継続することが予測されている。

国内コンバージドシステム市場予測、2015~2020年(出典:IDC Japan)

■[セキュリティ]ランサムウェア身代金の企業/個人支払い傾向(IBM、12/16)
・個人消費者よりも企業のほうがランサムウェアの身代金を支払う傾向が強い
・企業回答者の約半数が職場でランサムウェア攻撃を経験、うち7割が実際に支払った
・消費者も「金融機関のデータ」「モバイルデバイス」「子供の写真」などを取り戻すためには支払う傾向がある

 企業ビジネスリーダー600名、個人消費者1000名を対象にIBMセキュリティーが実施した調査。身代金を支払った企業回答者のうち、半数は支払額が1万ドル以上に及んだという。重要な業務データを取り戻すためには、高額な身代金支払いもやむを得ないのだろう。くれぐれもバックアップなどのデータ保護対策を怠らないようにしたい。

スパムメールの何%がランサムウェアだったか。2015年は平均0.6%に過ぎなかったが、2016年は平均40%近くにまで急増した(出典:IBM X-Force)

■[市場]2016年、日本におけるCRMのハイプ・サイクル(ガートナー ジャパン、12/19)
・26のCRM関連テクノロジー/アプリに関して、トレンドと今後の見通しを示す
・注目1:顧客のチャネル利用履歴を追跡、分析する「カスタマー・ジャーニー・アナリティクス」
・注目2:複数の顧客接点システムを結合する「顧客エンゲージメント・ハブ」

 顧客中心型のプロセス構築が求められるなかで、注目テクノロジー/アプリのトレンドを見るハイプ・サイクル。個々の顧客の行動を把握、意図を分析し、最適なコンテンツを最適なタイミングとチャネルで提供する、といった高度な顧客対応が、厳しい競争環境下での持続的成長を支えることになる。発表では、特に注目しておくべき3つのテクノロジーの解説も。

日本におけるCRMのハイプ・サイクル:2016年(出典:ガートナー ジャパン)

カテゴリートップへ

この連載の記事
  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード