セキュリティベンダーのラックと日本マイクロソフト(日本MS)は11月2日、「IDベースドセキュリティソリューション」の提供に向けた協業を開始した。「Microsoft Enterprise Mobility + Security(EMS)」や「Active Directory(AD)」、セキュリティコンサルティング/導入支援サービス、監視サービスなどを組み合わせ、ユーザーID/デバイスIDに基づくセキュリティソリューションを共同で提供していく。
ビジネスモビリティやIoTの動きが進む中で、企業のエンドポイントは、これまでのように「境界防御」だけでは保護できない状況になっている。こうした変化に対応するため、今回の協業によるソリューションが発表された。
具体的には、マイクロソフトのクラウドセキュリティサービスであるEMSが備える「Azure AD」や多要素認証、認証への攻撃検知、マルウェア対策、データ保護などの機能と、ラックが提供するセキュリティコンサルティング、セキュリティ製品導入支援、JSOC監視などのサービスを組み合わせて提供する。
発表会でラックの信田氏は、顧客へのセキュリティ製品導入を促進していくうえでは、一般的に「機能がわかりにくい」「効果がわかりにくい」「(導入しても)有効活用ができない」という3つの課題があると分析。EMSを軸とする今回の協業では、ラックから事前アセスメントやPOC、JSOCマネージドセキュリティサービス(JSOC MSS)などを組み合わせて提供することで、そうした課題を解決すると説明した。
JSOC MSSでは、監視/運用のマネージドサービスを通じて、ユーザーIDやデバイスIDの不正利用を検知する。具体的にはJSOCによるアラート監視やログ分析、稼働監視、レポートなどのほか、サイバー救急センターによるインシデント発生時の緊急対応、サイバーグリッド研究所からの最新脅威情報の提供などのサービスが受けられる。
なお今回の協業において、日本マイクロソフトはテクノロジー/プロダクトの提供、共同セミナーの開催だけでなく、マイクロソフト自身ではカバーできないマネージドサービスを含む同ソリューションを積極的に営業展開していくほか、パートナーソリューションを販売するマーケットプレイス「Microsoft AppSource」でも提供し、顧客への普及を促進していく方針だ。加えて、日本マイクロソフト佐藤氏は、「日本の顧客ニーズを吸い上げ、MS本社にフィードバックしていく取り組みにも、この協業を活用したい」と話している。