IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 9月26日~10月9日分
「過労死ライン」を超える情報通信業の残業、IoTマルウェアとDDoS、ほか
2016年10月11日 07時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、調査会社などが先週1週間に発表したIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてざっくりお伝えしています。
■[市場]日本における先進技術のハイプサイクル2016年版(10/5、ガートナージャパン)
・今後の企業ITに関わる38のキーワード、日本における現在のトレンドを評価
・モバイル、クラウド、ビッグデータなどはすでに「幻滅期」入り
・人工知能、IoT、DevOps、OTとITの融合などが「過度な期待のピーク期」
グローバル版のハイプサイクルに続いて、日本版を発表。取り上げられている先進技術はかなり異なる。また、過度な期待のピーク期の後には、失敗事例を通じた幻滅期がやって来るが、その失敗ノウハウは必ずその後の本格的/安定的な普及期に生かされる。「過度な期待を持たれている」テクノロジーにすぐさま投資することはなくても、将来のためにその動向は継続的に注視しておく必要がある。
■[生活]「過労死ライン」を超える情報通信業の残業(10/7、厚生労働省)
・正規雇用従業員の残業時間、最長の月で「月80時間(過労死ライン)」を超える企業割合は22.7%
・業種別に見ると「情報通信業」の割合が最多で44.4%、以下「学術研究、専門・技術サービス業」40.5%、「運輸業、郵便業」38.4%の順
・残業が必要な理由、情報通信業では「顧客からの不規則な要望への対応」「業務量が多い」「仕事の繁閑の差が大きい」が企業側回答のトップ3
2014年施行「過労死等防止対策推進法」に基づく初の白書。2015年度の過労死等の発生状況やその背景、取り組みをまとめる。情報通信業は、忙しい月だけでなく平均的な月でも残業時間が長い部類に入っており、不名誉な結果。なお「残業が必要な理由」について、従業員側調査では「人員不足」がトップ回答であり、企業側の見方とずれがある。労働時間短縮へのインセンティブが労使双方に働く仕組みが強く求められる。
■[セキュリティ]IoTデバイスを踏み台にしたDDoS攻撃の増加(9/25、シマンテック)
・IoTデバイスをターゲットとしたマルウェアファミリーは2015年に急増
・貧弱なセキュリティ機能、デフォルト設定の万円、長期間メンテナンス/更新せず使用、といったIoTデバイスの特徴から狙われやすい
・IoTマルウェアの攻撃元は中国(34%)、米国(28%)が多い
すでに指摘されているとおり、ルーターやセットトップボックス、NAS、ネットワークカメラなどのIoTデバイス(特にLinuxベースのもの)を狙うマルウェアが発生し、DDoS攻撃の新たな踏み台として利用され始めている。攻撃者にとっては「効率が良い」ターゲット。今後IoTデバイスを購入する場合には、どのようなセキュリティ機能を搭載しているか、どのようなセキュリティ対策が可能かも重要なチェックポイント。
■[セキュリティ]企業の「サイバーセキュリティ成熟度」調査(9/29、RSA)
・75%の組織が、サイバーセキュリティ対策は不十分と自己評価
・防御(境界型セキュリティ)は成熟、だが特定や検知、対応は成熟度が低い
・インシデント対応の機会が多い企業は、対応の成熟度が高い
世界81カ国、878人の企業/組織担当者へのWeb調査。NIST(米国立標準技術研究所)のサイバーセキュリティフレームワーク(CSF)を評価基準として回答者が自己評価、それをRSAが集計/スコアリングしている。近年のインシデントからは、境界型セキュリティを重視するだけでは十分ではないことが明らかになっているが、境界型以外の対策がなかなか進まない。

この連載の記事
-
第211回
ITトピック
要件定義をAIが支援し「工数を半分以上削減」7割超/“日本独自のAI推進モデル”が判明/AIセキュリティ導入の課題、ほか -
第210回
ITトピック
生成AI普及後も「IT技術者採用は減らない」が約8割/今後5年で倍増のデータセンター電力消費、3分の2は米国・中国、ほか -
第209回
ITトピック
脆弱性のあるVPN機器、6割の企業が「すぐ特定できず」/来年注目の“11のIT戦略テーマ”発表/管理職の半数が「燃え尽き」を経験している、ほか -
第208回
ITトピック
日本のクレカ情報、闇市場では世界一高値で売買/東京が2年連続で世界一、DC建設コスト/誤情報・偽情報への企業対策が加速、ほか -
第207回
ITトピック
人事評価に6割超が自己評価との「ギャップ」感じる/“AIの波”を生き延びるための技術トレンド/AIプロジェクトの6割超がPoC止まり、ほか -
第206回
ITトピック
IT技術者として何歳まで働く? 40代と60代の意見差/年率66%で急成長の「DAP」市場/フリーランス新法施行1年で改善実感の声、ほか -
第205回
ITトピック
ランサム被害企業の3割が「繰り返し被害に遭った」/インフラ技術者の年収アップに効く資格取得/AIに雇用を奪われるのは若手人材? ほか -
第204回
ITトピック
技術学生の大手SIer就職人気が躍進、その理由/成長率37%“急速拡大”の国内AI基盤市場/物価上昇で退職金の実質減少が続く、ほか -
第203回
ITトピック
1件のセキュリティ事故が281社に影響連鎖、恐ろしいサプライチェーンリスク/シニア人材がプロとして働くモチベーションは? ほか -
第202回
ITトピック
ICT求人の8割で「AIスキル」が職務要件に/経営層が熱望するソフトウェア革新/セキュリティのハイプサイクル発表、ほか -
第201回
ITトピック
顧客接点にデジタルヒューマンが浸透/「週休3日」求人はこの5年で5倍に増加/iPhone 16eが期待外れだった理由、ほか - この連載の一覧へ











