ベンチ環境
では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。なお、テスト環境は以下に示したとおりで、今回はSU800の256GBモデルと512GBモデルを用意し、それぞれマザーボードのSATA 6Gbpsポートに接続してテストを行なっている。
テスト環境 | |
---|---|
CPU | Intel 「Core i7-4770K」(3.5GHz/TB時3.9GHz) |
マザーボード | MSI「Z97A GAMING 6」(Intel Z97 Express) |
メモリー | DDR3-1600 4GB×2 |
システム用ストレージ | Samsung SSD 840 PRO 256GB |
OS | Windows 10 Pro 64bit(Anniversary Update適用済み) |
CrystalDiskMark 5.1.2の結果は
ハイエンド製品と遜色ない速度を発揮
まず、CrystalDiskMark 5.1.2の結果から見ていこう。データサイズを1GiBに設定して行なったテストの結果を見ると、256GBモデルに比べて512GBモデルのほうがシーケンシャルライト速度がわずかに高速となっているが、誤差の範囲内とも言える違いでしかなく、シーケンシャルアクセス速度に関してはほぼスペック通りの速度が発揮されている。
4Kランダムアクセス速度に関しては、256GBモデルの4Kランダムリードのスコアが512GBモデルと比べてやや低くなっていることがわかる。
ただ、本来のスペックでも4Kランダムリードは256GBモデルが512GBモデルに比べてやや低くなっており、この差はスペック通りと言える。
そのため、4Kランダムアクセス速度に関しても、スペック通りのスコアと言っていいだろう。ただ、差があるとは言っても体感できるほどの違いではないはずだ。
現在では、SATA SSDではメインストリームからハイエンドまで、アクセス速度に大きな差が見られなくなっているが、SU800に関しても、ハイエンド製品と遜色のない速度が発揮されると言って差し支えないだろう。
また、データサイズを32GiBに設定した状態でもテストを行った。テストのデータサイズを大きくすることで、SLCキャッシュやDRAMキャッシュの溢れによる速度低下があるかどうかを確認するためだったが、結果はデータサイズを1GiBに設定した場合とほとんど変わらなかった。
このことから、大容量データ書き込み時の速度低下も起きにくいと考えられ、常に満足のいく速度を維持したまま利用できるはずだ。
PCMark 8のストレージテスト
続いて、PCMark 8のストレージテストの結果だ。各種アプリケーションが行なうストレージアクセスをシミュレートしたテストとなっているため、実際にPCで利用する場合での快適性を示す指標となる。
PCMark8 Storage Test | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
256GBモデル | 512GBモデル | |||||
Storage Score | 4958 | 4974 | ||||
Storage 2.0 bandwidth(MB/Sec) | 241.24 | 263.6 | ||||
Storage-World of Warcraft v2(Sec) | 58.4 | 58.4 | ||||
Storage-Battlefield 3 v2(Sec) | 133.9 | 133.5 | ||||
Storage-Adobe Photoshop light v2(Sec) | 113.7 | 113.5 | ||||
Storage-Adobe Photoshop heavy v2(Sec) | 361.4 | 360.8 | ||||
Storage-Adobe InDesign v2(Sec) | 57.6 | 57.3 | ||||
Storage-Adobe After Effects v2(Sec) | 70.8 | 70.6 | ||||
Storage-Adobe Illustrator v2(Sec) | 72.1 | 71.9 | ||||
Storage-Microsoft Word v2(Sec) | 28.3 | 28.2 | ||||
Storage-Microsoft Excel v2(Sec) | 9.3 | 9.2 | ||||
Storage-Microsoft Power Point v2(Sec) | 9.2 | 9.2 |
同じ条件で過去に行なったテスト結果と比べてもらうとよくわかるが、こちらもハイエンド製品と比べて遜色のないスコアが得られている。
この結果から、SATA SSDとしてほぼ最大限の速度が発揮されているのはもちろん、実際の利用時にもハイエンド製品と比べて遅いと感じる場面はほとんどないだろう。
コスパに優れるSSDとして魅力的な存在
今回のテストから、SU800は速度に関してはハイエンド製品とほぼ同等で、SATA SSDとして申し分ない性能を備えていることが確認できた。
気になるのは、TLC 3D NAND採用による耐久性の問題についてだが、こちらは実際に長期間利用しないとわからないため、今回のテストだけでは判断が難しい。
ただ、SLCキャッシュなど寿命を改善する仕組みが盛り込まれている点などを考えると、すでに登場しているTLC NAND採用SSDと比べて耐久性が劣ることはないと思われる。
十分に長いMTBFを確保している点からも、一般ユーザーが通常利用する範囲内であれば、耐久性が問題になることもほぼない。
SU800の実売価格(税抜)は、128GBモデルが4980円、256GBモデルが8280円、512GBモデルが1万4800円と、登場直後でも十分な安さとなっている。
今回のテスト結果と合わせ、SU800はコスパに優れるSSDの新たな選択肢として、十分に魅力的な存在となる。
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