基調講演でJAL、トヨタ、パナソニック、JR東日本など紹介、さらにコグニティブサービスのデモも
デジタル変革の先進企業、国内事例を紹介「Microsoft Foresight」
2016年09月07日 07時00分更新
顧客とつながる次世代小売店舗、ワークスタイル変革で社員のエンパワーメント
まず「お客様とつながる」では、今年3月に発表したソフトバンクロボティクスとの協業を通じて提案している「次世代型の小売店舗」を紹介した。この次世代型の小売店舗では、人型ロボットの「Pepper」、Windows 10搭載の大画面端末「Surface Hub」、それに「Azure IoT Suite」クラウドを結んで、リアルタイムに顧客情報を収集。それを活用して、最高のおもてなしを提供する。
具体的には、Pepperの内蔵カメラで来店客の顔を認識し、性別や年齢などを判断して「おすすめ商品」をSurface Hubにその情報を表示、紹介する。さらに、顧客の購入履歴や来店状況などもバックエンドシステムを介して把握しており、経営者はどこにいても、こうした情報をクラウドで確認できる仕組みだ。
次に「社員にパワーを」では、富士通が全世界16万人の社員を対象に、標準のコラボレーション環境として「Office 365」を採用し、ワークスタイル変革に取り組んでいる事例を紹介した。富士通の田中達也社長は、ビデオメッセージを通じて「クラウド上で電話を含むコミュニケーション環境を構築し、この社内実践(の顧客展開)を通じて、2018年度には500億円のビジネスを目指す」と述べている。
日本マイクロソフト社内におけるワークスタイル変革の実践例も紹介された。同社では、過去5年間の取り組みを通じて、ワークライフバランスが40%改善し、事業生産性も26%向上、そして女性の離職率は40%減少するという成果を生んでいる。今年5月には、就業規則を抜本的に変更した新たなテレワーク勤務制度もスタートした。
平野社長は、こうしたワークスタイル変革の実践により「個人が持つポテンシャルを最大限に発揮できる環境構築を目指す。企業の生産性を上げ、社員の満足度を高め、日本の労働生産性を高めることができる」と述べた。
JALのHoloLens活用、トヨタやパナソニックのプロダクト改革を紹介
「業務を最適化」では、日本航空(JAL)がARデバイスの「HoloLens」を採用し、ミックスドリアリティ(Mixed Reality)の特徴を生かして、エンジン整備や操縦のトレーニングに応用している例が紹介された。
ゲスト登壇した日本航空 商品・サービス企画本部 業務部業務グループ グループ長の速水孝治氏は、HoloLensの採用によって「三次元環境において、安全な環境で、いつでもパイロットや整備士向けのトレーニングに活用できるようになった」と語った。「社内の各部門が、HoloLensの技術のすごさに驚いている。今後はカスタマーエクスペリエンスを高める分野においてHoloLensを活用し、世間をあっと驚かせるようなものを提供したい」(速水氏)。
最後の「製品を改革」では、トヨタ自動車とパナソニックの事例を挙げた。
トヨタ自動車は今年4月、マイクロソフトとの合弁会社である「トヨタコネクテッド(Toyota Connected)」を米国に設立しており、クルマから取得した情報をAzureクラウドに集約して顧客サービスを向上させたり、新たなクルマの開発につなげる取り組みを開始している。
また、パナソニックでは「パナソニック クラウド サービス プラットフォーム(PCPF)」をAzure上に構築。150万台以上の家電製品がクラウドにつながっており、たとえば外出先からテレビやエアコンを操作するようなことを可能にしているという。