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新製品「Workplace Hub」にかけるコニカミノルタ山名社長の思い

日本の製造業はハードのコモディディ化と正対しなくてはいけない

2017年04月10日 09時00分更新

文● 五味明子 編集 ● 羽野/TECH.ASCII.jp

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 「コニカミノルタはカッティングエッジなデジタルカンパニーとして生まれ変わる」。3月23日(ドイツ時間)、ドイツ・ベルリンで開催されたコニカミノルタのグローバルイベント「Konica Minolta Spotlight Live」のキーノートで、コニカミノルタ 代表取締役社長 山名昌衛氏はこう宣言し、新製品となる「Workplace Hub」を発表した。複合機にサーバーを搭載し、AI機能を実装した“IoTデバイス”でオフィスのデータをリアルタイムに集約/分析するという、非常にユニークなコンセプトの製品である。

カメラの会社でなくなったコニカミノルタが進んだ道とは?

 複合機(MFP)やプリンティング/グラフィックを事業のコアとするコニカミノルタには、正直、山名社長が言う“デジタルカンパニー”というイメージはほとんどない。むしろ、多くの人々が同社の名前を聞いて真っ先にイメージするのは、かつてのカメラメーカーとしての強い存在感だろう。

 2006年にカメラ/フォト事業からの撤退を宣言してからすでに10年以上が経過し、現在はすべてのカメラ関連事業の資産を譲渡/売却済みだが、コニカミノルタを「カメラの会社」と思っている人は今も少なくない。世界150カ国にビジネスを展開し、従業員は4万人超、連結売上高の合計は1兆3000億円に上るグローバルカンパニーであるにもかかわらず、だ。

 今回発表されたWorkplace Hubは、そうしたコニカミノルタの既存イメージを打ち破るべく、山名社長のいう「カッティングエッジなデジタルカンパニーとして生まれ変わる」ために、3年の歳月をかけて開発された製品である。そしてデジタルカンパニーとして生まれ変わるということは、同社がITの力をもってして社会に貢献していくという意思表示でもある。

 はたしてコニカミノルタは、この新製品で何を実現しようとしているのか。今回、ベルリンのイベント会場において山名社長にインタビューする機会を得たので、その内容をお伝えしたい(聞き手は、五味明子)。

新製品「Workplace Hub」を紹介するコニカミノルタ 代表取締役社長 山名昌衛

情シスのない中堅中小企業にITの最新トレンドを届けたい

ーーWorkplace Hubは一見、オフィスのどこにでもある複合機やプリンタの姿をしていますが、実はサーバーとAI機能を実装したIoTデバイスという位置づけが非常にユニークに思えます。なぜこうした製品を開発しようと思われたのでしょうか。

 コニカミノルタは世界150カ国、200万社を超える企業に400万台以上のデジタル複合機を導入しています。現在、複合機の世界も大きく変わってきており、ネットワーク接続はもちろんのこと、さまざまな機能が付加されており、オフィス空間に欠かせない存在であり続けています。

 その一方で、多くの企業、とくに中堅中小企業は「社内に情シスがない」という悩みを抱えています。ご存知の通り、現在、世界中で“デジタライゼーション”への動きが高まっており、すべての企業はその大小にかかわらず、デジタル化への必要性に迫られています。しかも社会が要求する変化へのスピードはかつてなく速い。しかし、中小企業にはITを専門に担当する部署やスタッフを置く余裕がありません。ことに日本の中小企業はその傾向が強く、IoTやクラウド、AIといったITの最新トレンドに触れる機会が少ないのが実情です。つまり、必然的にデジタル化への対応に遅れが出やすくなります。

 こうした企業に対してコニカミノルタとして、そして日本の製造業の人間として何ができるのか、ずっと考えてきました。中小企業には情シスはないかもしれないが、デジタル複合機ならどんな小さな会社のオフィスにもあります。もし複合機が“職場のハブ(Workpalce hub)”としてあらゆるIT機器やデータをつなぐ存在として機能することができれば、どんな企業もデジタル化への緒(いとぐち)をつかめるのではないか。そうした背景からWorkplace Hubの開発をスタートしました。

IoTやAIでAmazon、Googleと張り合う気は毛頭ない

ーーIoTやクラウド、AIといったトレンドはすでに多くのITベンダーが市場に参入している分野です。コニカミノルタがその分野でAmazonやGoogle、IBMといった企業と張り合うというのは、正直あまりイメージできないのですが。

 もちろんAmazonやGoogleと張り合う気など毛頭ありません。我々がWorkplace Hubで目指すのはAmazonやGoogle、IBMがフォローしない、というよりも、フォローすることが難しい企業のサポートです。

 もう少し具体的に言いましょうか。ITの専門スタッフを社内に抱えることのできない企業、ITの予算が非常に小さい企業が、いきなりAmazonやGoogle、IBMのクラウドインフラやIoTサービスを使いこなせるようになると思いますか?IBMの営業が、そうした小さな会社に直接出向いてクラウドやIoTへの手ほどきをすると思いますか?残念ながらそういうことは現実には起こりにくいんです。

 仮に中堅中小企業がAmazonやIBMのクラウドサービスを利用したとしても、データのサイズや分析の目的を考えると、コストや効率の面で割りに合わないことが多い。かといって、小さな企業がリアルタイム性を求めていないのかというと、決してそんなことはなくて、むしろ小さい会社だからこそ、いますぐ分析結果がほしいというケースも少なくありません。巨大なクラウドベンダーが提供する巨大なデータセンターでデータを収集/分析しなくても、中小企業の規模感にあったIoTプラットフォームがあれば、それを使って自分たちでデータを収集し、リアルタイムな分析が可能になるはずです。

ーーつまり、中堅中小企業にもなじんでいる複合機をIoTプラットフォームとして進化させることで、メジャーなITベンダーが提供するクラウドやIoTサービスとは一線を画すと。情シスがないからこそ、自分たちでデータを収集し、自分たちでリアルタイムに分析できる環境が必要だということでしょうか。

 クラウドはすばらしい技術ですが、すべてのデータをクラウドにあげて、AmazonやGoogleのデータセンターで処理したり、IBM Watsonで分析することが適切だとは私は思いません。

 もちろん、Workplace Hubは外部のパブリッククラウドとの連携も考慮されていますが、それ以前に、手元のデータは手元でリアルタイムに処理することにこだわっています。社内のちょっとしたデータをいちいちクラウドのデータセンターにアップして、時間をかけて分析する必要性は中堅中小企業にはありませんし、無駄な部分が多過ぎます。

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