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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第368回

業界に痕跡を残して消えたメーカー UNIXの覇者Sun Microsystems

2016年08月08日 11時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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x86に遅れを取り衰退
Oracleに会社を売却

 Sun Microsystemsの1996年から2009年までの売上と営業利益をまとめたのが下の表だ。

1996年から2009年までの売上と営業利益
年号 売上 営業利益
1996年 70億9500万ドル 6億7500万ドル
1997年 70億9500万ドル 10億2700万ドル
1998年 98億6200万ドル 11億1400万ドル
1999年 118億600万ドル 15億2000万ドル
2000年 157億2100万ドル 23億9300万ドル
2001年 182億5000万ドル 13億1100万ドル
2002年 124億9600万ドル -12億4800万ドル
2003年 114億3400万ドル -27億4200万ドル
2004年 111億8500万ドル -11億9000万ドル
2005年 110億7000万ドル -3億7700万ドル
2006年 130億6800万ドル -8億7000万ドル
2007年 138億7300万ドル 3億900万ドル
2008年 138億8000万ドル 3億7200万ドル
2009年 114億4900万ドル -22億3600万ドル

 1982年の創業からほんの16年あまりで売上げが100億ドルを超える巨大企業に成長したわけであるが、では同社はなんの市場を獲得したかといえば、それこそ1990年代初頭にDECが持っていたような市場がそのままSunに移った形だ。連載366回の数字と見比べると、なかなか趣深いものがある。

 ただその一方で、足元では衰退が始まりつつあった。まずはデスクトップ向けの市場である。これは1990年代後半から次第にシェアが失われつつあった。

 UNIX Workstationという市場に非常に多くの競合メーカーが一斉に参入し、当然ながら価格競争に陥るわけで、この頃にはすでに安いとは言えなくなっていたSunがシェアを落とすのは当然である。

 さらにUNIXの市場そのものがPCに食われつつあった。これはWindows 95やWindows NTといったTCP/IPスタックを標準搭載するOSが普通に利用可能になり、Windows XPの登場で操作性も改善したことで、これまでデスクトップUNIXを利用していたアプリケーションの乗り換えが始まった。

 その少し後にはLinuxが爆発的に普及を見せ、Windows以外にLinuxに乗り換えるという動きも加速化した。これを助長したのが、SPARCの停滞とx86の急速な伸びである。

 先ほどは省いたが、SPARC Internationalは最初のSPARCのをSPARC V7、次いでハードウェア乗除算を加えたSPARC V8とし、1993年には64bit化したSPARC V9という3種類の命令セットを発表している。

 ただこちらはあくまでも命令セットであって内部の構造などは規定していない。今で言えばARMのアーキテクチャーライセンスみたいなものだ。したがって各社が自身で実装することになるが、例えばSun自身が実装したSPARC V9準拠のUltraSPARC Iの場合、1995年に発表されている。

UltraSPARC I

 UltraSPARC Iは4wayのIn-Orderスーパースカラーの構成で、TIのEPIC-3(0.47μm CMOS)を利用して166MHz駆動ながら、182MHz駆動のサンプルもいくつか取れており、このあとTIの0.42μmプロセスに移行して200MHzを狙うUltraSPARC I+が予定されていた。

 さらにはTIのEPIC-4(0.29μm CMOS)を利用したUltraSPARC IIでは当初250MHz、最終的には300MHzが可能という話であった。実際にはそううまい話はなく、1997年にリリースされたUltraSPARC IIは250MHzどまりであった。

 この後プロセスの微細化を重ね、最終的には0.18μm CMOS+銅配線で650MHz駆動が可能なUltraSPARC IIe+がリリースされたのは2002年のことだが、この頃にはx86はとっくに1GHzを超える速度で動作していた。

 この後Sunは、マルチコア構成のUltraSPARC IIIや、後継となるUltraSPARC IVを投入し、マルチコアシステムが有効なサーバー製品ではその威力を発揮したものの、ことデスクトップ向けでは完全にx86に挽回不可能なまでの性能面での遅れをとることになる。

 もちろんSunもx86を無視していたわけではなく、Solaris 2.1(SunOS 5.1相当:Sun OS 5.0がSolaris 2.0に改称された)からはx86版もリリースしており、実際Sun自身もSolarisが動作するx86マシンを販売したりしている。

 あるいはSun-4と同時期に、80386を搭載するSun386iというワークステーションを販売もしたりしている。さらに2000年にはx86ベースのサーバーを販売していたCobalt Networkを買収して、自社のラインナップに加えたりした。

 余談ながら、Cobalt Cubeにはいくつかバージョンがあり、前述のニュースではMIPS系プロセッサー(実際にはRMIのRM5231)が採用されるとある。それとは別にAMDのK6-2を搭載したモデルもあり、両社が併売されていた。

 これらの中でSolarisは一定のニーズをつかんでおり、現在もまだユーザーがいるほどだが、かといってそれでx86+Windowsやx86+Linuxの勢力を押しとどめるには十分ではなかった。

 それでも2000年頃まではサーバー製品の伸びのおかげで成長が続いたが、2001年のドットコムバブル崩壊でサーバー/ストレージ製品の売上げが急落、同社の経営を直撃した結果が2002年以降の状況である。

 この後もMcNealy氏は困難な状況をなんとか打開しようと努力を重ねる。2004年にはUltraSPARC Vとなる予定だったMilleniumというコード名のチップの開発をキャンセル、代わりにマルチコア/マルチスレッドプロセッサーであるNiagaraことUltraSPARC T1を導入。

 2005年にはGrid Computingの先鞭をつけることになったSun Gridを発表するなど、常に攻めの姿勢を崩さなかったが、その一方で2006年まで毎年赤字が続く状態であった。このため2001年末より数度にわたるレイオフも行なわれ、会社としての活力も次第に失われつつあった。

 McNealy氏も2006年にCEOを降板(会長としては残った)、後任にはSunが1996年に買収したLightHouseDesing, Ltdというソフトウェア会社のCEOを勤め、買収後にはSunのCOOを勤めていたJonathan Ian Schwartzが就いたが、彼をもってしてもSunの復活は容易ではなかった。

 2007年にはファンドから7億ドルの投資を受け入れるなどして持ちこたえたものの、2009年にはまた大きな赤字を出すに至り、2009年9月2日にOracleに会社を売却することを発表する。買収完了は2010年で、買収金額は74億ドルであった。

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