このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

富士通、NTTドコモが明かす「活用の心得」、OpenStack Days Tokyo 2016基調講演(後編)

富士通「全社内システムをOpenStackクラウドへ移行」のその後

2016年07月21日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

NTTドコモ:商用LTEネットワークのNFV化にOpenStackを採用

 NTTドコモ ネットワーク開発部 担当部長の深江誠司氏は、同社のモバイルネットワークにおける仮想化の実現を、OpenStackを利用して進めてきた事例を披露した。

 深江氏は、現在のモバイルキャリア(携帯通信事業者)が共通して抱える課題として、「CAPEX(設備投資コスト)とOPEX(運用コスト)の効率化」があると説明する。モバイルトラフィックは指数関数的に増大し続けているが、キャリアの収入が同じように増えるわけではない。したがって、通信品質を保ちつつ無駄なコストを削減し、利益を確保する取り組みが必要とされている。

 他方で、災害発生時などには特定エリアにトラフィックが集中し、つながりにくくなるという課題もある。深江氏は、災害発生でトラフィック量が「1日あたり約60倍になった事例もある」と述べ、信頼できる社会インフラとしてそうしたケースに備える必要もあると指摘する。

現在のモバイルキャリアが共通して抱える課題

 この2つの課題を解決するための取り組みとして、NTTドコモでは2005年ごろから仮想化技術の研究開発に取り組んできた。モバイルネットワークの商用サービスを支えるシステムを、専用ハードウェアではなく、仮想化技術を用いて汎用ハードウェア上で実現する「NFV(Network Function Virtualization)」だ。通信系の標準化団体(ETSI ISG NFV)やオープンソースコミュニティ(OPNFV、OpenStackベースのNFVソフトウェア開発コミュニティ)にも参加し、NFVの検討と実装をリードしてきた。

NTTドコモのNFV商用化に向けた取り組み。今年3月にはLTE商用ネットワークでの稼働を開始

 仮想化技術を採用することで、異なるベンダー製品間でも汎用ハードウェアによるリソースプールが共有できることになり、専用ハードウェア/ソフトウェアを採用していたこれまでと比較して経済性が向上するとともに、トラフィックに対応したスケールアウトによる接続性(つながりやすさ)の維持、障害発生時にも即時仮想マシンを用意できる信頼性の向上が期待できる。また、新サービスの開発/提供時にもハードウェア更改が必要ないため、迅速なサービス向上にもつながる見込みだという。

 そして今年3月、NTTドコモでは商用LTEサービスを支えるコアネットワークに仮想パケット交換機(vEPC:Virtual Evolved Packet Core)を採用した。仮想化基盤にはOpenStackとエリクソン製品を、そしてvEPCにはNECと富士通と複数ベンダー製品を採用している。「これにより、従来のレガシーシステム(パケット交換機)と同一の機能、品質を実現できた」(深江氏)。

今回NTTドコモが導入したNFV環境。異なるベンダー製品の組み合わせで構築

 深江氏は、NTTドコモでは今後も「このEPC成功経験を生かして、仮想化を進めていく」と述べた。ロードマップのスライドを見ると、今後、局舎(データセンター)内だけでなく局舎間でもリソースプールを共有できるようにしていく。「2020年度までには、コアネットワークの75%のシステムを仮想化する計画」(深江氏)。

今後のロードマップ。2020年度以降は多様なサービスに最適化されたネットワークを実現していく

 OpenStack導入企業として、今後のOpenStackに期待することとして、バージョンをスキップした(非連続バージョン間の)無停止アップグレードの実現を挙げた。また、自らもコミュニティに参加しているOPNFVにおいて、ハードウェア故障を自動検知/修復する機能(OPNFV Doctor)や、物理ハードウェア構成を意識した仮想マシン管理ができる機能(OPNFV Promise)の検討および実装に取り組んでいると紹介した。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    ITトピック

    IT技術者の4割が「5年後のスキル陳腐化」に危機感/働くシニアは多いが「長く働きやすい」環境ではない日本/トークンコストの成果証明は難しい、ほか

  2. 2位

    デジタル

    Zscaler Internet AccessのIKEv2接続例 ヤマハRTX1300でZIA経由の冗長IPsec VPNを構築する方法

  3. 3位

    データセンター

    AIデータセンターの「電力・冷却課題」打破へ シュナイダーが営業・設計・現場を直結する新組織立ち上げ

  4. 4位

    sponsored

    先制的サイバーセキュリティのため、経営者が今こそ考えるべきこと

  5. 5位

    トピックス

    モンハン、FF、エスコン8……注目作だらけで整理券が消えた!? SIEブースの人気がすごい【TGS2026特集】

  6. 6位

    ビジネス・開発

    ラスボスCOBOLを倒すために、7チームはなにを選択し、なにを捨てたのか?

  7. 7位

    デジタル

    Cloudflare WANとの接続検証でRTX1300/RTX840が確認、IPsecや自動切替に対応

  8. 8位

    サーバー・ストレージ

    「身代金を払えば復元できる」は過去の幻想――約束を守らない攻撃者と変容するランサムエコシステム

  9. 9位

    ビジネス・開発

    AI駆動型開発で生産性倍増を狙うIBM セキュリティ、トークンコスト、品質の課題をどう解決する?

  10. 10位

    トピックス

    ガンコンが令和に復活!? 『タイムクライシス』を足踏みペダルで遊べてクッソ懐かしい【TGS2026特集】

集計期間:
2026年09月18日~2026年09月24日
  • 角川アスキー総合研究所