6月の「WWDC 2016」では登場しなかったものの、近いうちに「MacBook Pro」の新モデルが登場するのではないか、との期待が高まっています。
そこでこの機会に、筆者がノート型Macに感じてきた問題点を整理しておきたいと思います。それは、「これさえ買えばOK」という理想的なモデルが不在であるという点です。
種類が増えすぎて選ぶのが難しいアップル製品
2015年まで、ノート型のMacといえば13インチと15インチのMacBook Pro、そして11インチと13インチのMacBook Airという、4モデル構成が続いてきました。
しかし2015年には、ここに12インチのMacBookが加わります。MacBook Airより薄型軽量でありながら性能面では限りがあるという悩ましい存在です。
そこへさらにPCの置き換えを狙うiPad Proが投入されたことで、自分にぴったりの仕事用デバイスを選択することはどんどん難しくなっています。
その中でも、筆者がこれまでに最も酷使したといえるのが、11インチのMacBook Airです。持ち運びに便利な上に、CPUとメモリー、ストレージを最大までカスタマイズすることで携帯性と高性能を両立できます。ただし、画面が小さくRetinaではないという大きな弱点があります。
長時間使うなら、やはりRetinaディスプレイは必須です。そうなると13インチのMacBook Proの出番が増えていきます。メモリーを16GBまで増設し、性能も申し分ないものの、毎日持ち歩くにはちょっと重いという難点があります。
12インチのMacBookは、このAirとProのいいとこ取りをしたモデルとして期待できました。たしかに画面は高品質で、小型軽量という点でも優れており、毎日使うカバンを小さなものに買い換えたくなるほどの魅力があります。
ただし、本連載で何度も取り上げたように性能面では厳しいものがあり、これ1台では頼りない存在なのです。
三すくみ状態のMacBookシリーズ
これら3つのノート型Macはそれぞれに一長一短があり、グー・チョキ・パーのような三すくみの状態にあります。それならば、状況に応じて各モデルを使い分ければ良いのではないか、との指摘もあるでしょう。
たとえばMacBook Proは仕事場に置いておき、12型MacBookを持ち歩く、といった使い分けはどうでしょうか。
クラウドの普及により、複数のデバイスを使い分けることは容易になっています。仕事に必要なファイルは「Dropbox」で同期しており、原稿書きに使っているMarkdownエディタ「Ulysses」は、iCloudでiPadやiPhoneとも同期できます。
しかし筆者の仕事は、こうした使い分けにあまり向いていません。仕事場に戻るのではなく、移動の合間や待ち時間に仕事をする状況に追い込まれることもよくあります。そのとき持ち歩いているノートPCだけが頼り、という状況です。
理想のノートPCを実現するハードルはかつてなく低い
そういう意味では、筆者にとって理想的なノート型Macは、既存モデルの特長を兼ね備えたものといえます。小型軽量で持ち運びやすく、高品位なRetinaディスプレイを搭載し、高い冷却能力でCPUの性能を引き出せる1台です。
一昔前であれば、こうした要求は無理難題というべきものでした。携帯性やバッテリー駆動時間、冷却能力などは同時に実現することができない、トレードオフの関係にあったからです。
しかし昨今では、これらの特長を高いレベルで両立するWindowsのノートPCが増えていることは明らかです。技術的なハードルがかつてなく下がっている今こそ、アップルが本気を出した理想のノート型Macを見てみたいところです。
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