顧客の要望で稼働テストやOSインストール、ラッキングなど行う「米沢FIC」を開設
サーバーでも“米沢品質”、レノボが納品前検証などサービス開始
2016年06月28日 07時00分更新
レノボ・ジャパンは6月24日、NECパーソナルコンピュータ(NEC PC)米沢事業場内に開設した「米沢ファクトリー・インテグレーション・センター(米沢FIC)」を報道関係者に公開した。サーバーなどのデータセンター製品を対象とし、顧客ニーズに応じて内蔵オプションのキッティングや納品前検品などの「高付加価値サービス」を提供する。
稼働検査やOSインストールなど、顧客の労力を軽減する米沢FICサービス
米沢FICでのサーバー製品に対する付加価値サービスは、今年4月、レノボ データセンターグループ(DCG)の事業強化策として発表されていた。今回、米沢側での準備が整い、FICのオープンとともに6月28日よりサービスを開始した。
具体的には、NEC/レノボの国内向けPC生産を担ってきたNEC PC米沢事業場の一角に専用スペースを設け、海外の生産拠点から届く「System x」サーバーなどのレノボ データセンター製品に対し、NEC PCのFIC専任エンジニアが動作検証やプリインテグレーション作業を実施したうえで、顧客のもとに出荷する。
基本サービスとしては、本体に傷などがないかの外観/内観チェック、電源投入やBIOS起動、レノボの「Dynamic System Analysis(DSA)」ツールを使ったメモリテスト(4時間程度)などの初期稼働検査などがラインアップされている。さらに、顧客のニーズに応じてより長時間の稼働検査(24~48時間程度)やOS/ハイパーバイザのプリインストール、内蔵オプションの追加といった作業も可能だ。
サービスプロバイダーやHPCクラスタを構築する顧客など、一度に大量のサーバー納品を求める顧客向けには、米沢FICでキッティング/ラッキング/ケーブリングの事前作業を行ったうえで、ラック据付済みの状態で納品することもできる。
「大規模顧客だけでなく、SIパートナーにも積極的に活用してほしい」
レノボ・ジャパン 副事業本部長 データセンターグループ事業本部 DCGソリューション本部の橘一徳氏は、特に大規模な導入においてはオンサイトでの作業が広いスペースを必要とし、煩雑で無駄な時間もかかりがちなことから、積極的にこのサービスを活用してほしいと語った。
また同サービスは、基本的にハードウェアとOS/ハイパーバイザまでのレイヤーを対象としている。それ以上のレイヤー(仮想化プラットフォーム、ミドルウェア、アプリケーションなど)のインテグレーション作業についてはSIパートナーが担当することになるため、決してSIパートナーのビジネスと競合するものではないと、橘氏は説明した。
「SIパートナーにも、このFICサービスを自社の“ビジネスインフラ”として活用していただき、ソフトウェアやサービスビジネスの面で収益を上げていただけると考えている」(橘氏)
なおレノボは、2014年の段階で、米沢事業場を利用したx86サーバーの国内生産を計画していた。それが実現していないことについて橘氏は、同社のグローバルサプライチェーンの効率性から鑑みて「まだ日本での生産というところまでは(国内販売の)ボリュームが達していない」と述べ、将来的な国内生産も視野に入れつつ、まずはインテグレーションサービスからスタートしたことを明かした。
またNEC PC米沢事業場での生産を統括する竹下泰平氏は、これまでPC生産で30年以上にわたり培ってきた高品質/短納期を実現するノウハウが、サーバーなどの検品作業にも水平展開できると説明。さらに、サーバー/データセンター製品に特有のノウハウ(ラッキングやケーブリングなど)を数カ月にわたり教育してきたと述べた。現在、PC生産においては優れたスキルとノウハウを持つスタッフを顕彰する「マイスター制度」を設けているが、同様の制度をサーバー分野でも作る計画だという。
「ジョイントベンチャーとして、約1年前に(米沢事業場で)『Thinkpad』の生産を開始した。今回、新たにサーバーの分野でFICサービスができるというのは、ひとつ大きなマイルストーンになると考えている」(NEC PC・竹下氏)