高解像度環境での動作を安定させる「SLI HBブリッジ」
GTX1080ではSLIにも変更が加わった。まず従来のSLIブリッジにかわり「SLI HB(High Bandwidth)ブリッジ」、あるいは「Fastブリッジ」と呼ばれる新しいブリッジが導入された。従来のSLIブリッジは、2-Way構成時はコネクター1基、3-/4-Way構成時はコネクター2基を使用していた。だがGTX1080以降のGPUでは、コネクターを2基使用してGPUを連結する帯域を広くとることもできる。この新方式に対応したブリッジが「SLI HBブリッジ」、旧方式のブリッジは「スタンダードブリッジ」あるいは「レガシーブリッジ」と呼ぶ。
GTX1080でもスタンダードブリッジを使ってSLIを構成することは可能だが、ブリッジの帯域が細いため高解像度液晶(WQHD以上)やサラウンド環境ではデータ転送が追いつかない可能性が出てくる。SLI HBブリッジは4Kや5K液晶で高フレームレートを出すような広帯域が必須な状況で“確実な”動作を狙うための装備なのだ。
さらにややこしいことに、スタンダードブリッジの中でも「LEDの付いた」ブリッジはSLI HBブリッジに次ぐ性能が期待できる、とNVIDIAはうたっている。スタンダードブリッジの動作クロックは400MHzなのに対し、LEDブリッジとSLI HBブリッジは650MHzで動作するためだ。だが、2ブリッジ分の帯域が得られるのはSLI HBブリッジであるため、最高の性能を確実に得るにはSLI HBブリッジが必須となるだろう。
SLI HBブリッジはブリッジコネクターを2つ消費するため、必然的にGTX1080の推奨SLI構成は2-Way、ということになる。しかしどうしても3-Wayや4-Way SLIに挑みたいというのであれば、スタンダードブリッジを装着、さらにNVIDIAより“エンスージアストキー”をもらうことで3-Way以上が開放される。これは頂点性能を狙う人向けの情報なので、大半の人は気にしなくてよいだろう。
その他、レイトレーシング技術を応用したVR環境用の音響シミュレーターや、PhysXを使ってVRでハプティック(触感シミュレート)処理をさせる技術などもある。今回紹介したAnselやSMPはもちろん、最新パーツ性能チェックで解説したHDRなどはまだゲームや機器の対応待ち。これは非常に残念ではあるが、OC版GTX980Tiをも軽くヒネる最速のGPUであることは証明済み。今後新機能が順次開放されていけば、PCゲームはもっと楽しくなる。5月27日の発売解禁日が実に待ち遠しい魅力あふれる製品と言えるだろう。
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