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そろそろあこがれのフルサイズ一眼を買おうじゃないか! 第1回

35mm判フルサイズ一眼のメリット/デメリットを解説!

2016年05月10日 10時00分更新

文● 周防克弥

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フルサイズ機のデメリットになりうる3つの特徴

 画質面ではメリットの多いフルサイズ機だが、使い方によってはAPS-C機よりもデメリットになりうる特徴もある。注意したい部分を3つ紹介しよう。

デメリットその1、被写界深度が浅く物撮りには不向き

フルサイズ機で撮影した画像

フルサイズ機で撮影した画像

APS-C機で撮影した画像

APS-C機で撮影した画像。フルサイズ機と同じ場所から同じ大きさになるように同じ絞り値で撮影

上の写真の部分拡大。左がフルサイズ機、右がAPS-C機。拡大すると被写界深度の違いがわかる

上の写真から絞りを1段開けてAPS-C機で撮影した画像の拡大。大体絞り1段分程度の被写界深度の違いが出る

上の写真から絞りを1段開けてAPS-C機で撮影した画像の拡大。大体絞り1段分程度の被写界深度の違いが出る

 これはメリットともデメリットとも受け取れるが、被写界深度が浅い。背景をぼかして撮りたい場合にはメリットだが、物撮りのように手前から背景まで深くピントを合わせたい場合にはデメリットになってしまう。

 フルサイズ機とAPS-Cサイズ機で同じ場所から同じ大きさになるように撮るとすると、フルサイズ機で焦点距離100ミリのレンズを使った場合、APS-Cサイズ機では大体75ミリ程度のレンズでほば同じ画角になる。

 レンズの焦点距離が長くなればなるほど被写界深度は浅くなる傾向があるので、APS-Cサイズ機のほうがピントが深くなる。また撮影位置を変えることができたとしても同じ100ミリのレンズを使ったらAPS-Cサイズ機のほうが距離が離れることになり、近くを撮るよりも被写界深度は深くできる。

 レンズの「F値」、絞りは絞るほど被写界深度が深くなるので、できるだけ絞りたい場合でも多く絞ると回折現象で画質が低下していってしまう。

 しかし、フルサイズよりもAPS-Cサイズ機のほうがより少ない絞り値で同じ被写界深度を得られるようになるので、レンズのシャープネスを活かした撮影が可能にもなる。

 絞りを開けてボケ味を楽しみたいならフルサイズに軍配が上がるが、きっちりとピントを合わせて隅々までシャープに撮りたい場合にはAPS-Cサイズ機のほうが構造的には有利な場合が多い。

デメリットその2、カメラ本体が大きい

 撮像素子を大きくすることで銀塩時代のカメラとは比較にならない位大きくなってしまう。ソニーのα7やペンタックスのK-1のようにがんばって小型化している機種もあるが、全体的な傾向としては大きく、重くなる。

デメリットその3、レンズが高くて重い傾向
APS-C機での使いまわしも難しい

 フルサイズ用のレンズは大抵の場合、そのままAPS-Cサイズ機にも使用可能だ。ただし焦点距離が約1.5倍換算になり、望遠よりになってしまう(キヤノンの場合には約1.6倍)。

 これもメリットとデメリットがあるが、望遠撮影をしたい場合にはAPS-Cサイズ機が有利になる。例えば望遠レンズでポピュラーな「70-200mm/F2.8」はフルサイズ機に使用した場合、望遠側では表記どおりの200mmだが、APS-Cサイズ機では300mmになる。

 フルサイズ機で300mm/F2.8を使おうとした場合には巨額なレンズと巨大なサイズと重さになってしまうが、APS-Cサイズ機ならコンパクトに収まる。

 またカメラそのものはAPS-Cサイズ機でも造りが悪いことはないが、レンズはちょっと別だ。基本的にフルサイズを基準に作っていることが多く、APS-Cサイズ用のレンズも出ているが高性能なレンズはやはりフルサイズに合わせて作ってある傾向がある。

 望遠レンズではあまり気にならないが標準系や広角系では明るいレンズや高性能なレンズはフルサイズ用に多く、焦点距離が約1.5倍換算されてしまうAPS-Cサイズ機では広く撮る場合にきつくなる。

 一般的に「大三元レンズ」と呼ばれるレンズ、「16-35mm/F2.8」「24-70mm/F2.8」「70-200mm/F2.8」の3本のうち、標準ズームと望遠ズームではAPS-Cサイズ機に装着してもそれぞれ「35-100mm/F2.8」「100-300mm/F2.8」という使い方ができるが、広角ズームの場合「24-50mm/F2.8」とちょっと広めな標準ズームになってしまう。

 APS-Cサイズ機用の10mmあたりからはじまるズームレンズで開放F値が全域F2.8のレンズはない。もちろん、開放F値がF2.8じゃなくても綺麗に写るレンズもあるが、APS-Cサイズ機の場合には汎用的に使える広くて明るいレンズの選択肢が狭まる。

 重要なのはフルサイズ判でもAPS-Cサイズ判でも適材適所に使うこと。自分が普段何を撮ることが多いか、どういう写真を撮りたいかで変わってくるだろうが、気軽にいくつものデジカメを購入というわけにはいかないだろう。

 だが、一度大きく見える光学ファインダーや堅牢な造りのボディー、エントリーモデルとは違う操作感、道具としての安心感とモノとしての魅力は使ってみないとわからないし、使えば使うほど道具としての良さが感じられることは間違いない。とっておきの1枚を撮りたいならやはりフルサイズ判を使いたいと感じるだろう。

 なお、ニコンやソニーのEマウントレンズなど、APS-C用のレンズをフルサイズ判に装着して撮影できる機種も多い。この場合には写る範囲がAPS-Cサイズにクロップされるのでフルサイズの意味がなくなってしまうが、対応できるレンズが多い。

 最初のうちにAPS-Cサイズ機を購入してレンズを揃えてしまい、後からフルサイズ機を購入しても無駄にならない。

 キヤノンの場合には残念ながらフルサイズ機にAPS-C用のレンズは装着できないので、フルサイズ機に乗り換える、もしくは買い足す場合には手持ちのレンズのチェックを忘れないようにしよう。

次回はキヤノンとニコンの最上位モデル対決

 次回は、キヤノンとニコン、2台カメラメーカーの最上モデルを比較してみる。両社のすべてが詰まった機種、その優劣というよりは各々の特徴を見ていきたい。

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