既報の通り、キヤノンがデジタル一眼レフカメラEOSシリーズのフラッグシップモデル「EOS-1D X」をモデルチェンジし、「EOS-1D X MarkII」へと進化させた。筆者のようなプロカメラマンには気になる存在だろう。
従来機のEOS-1D Xが2012年の6月に発売されてから4年弱、銀塩時代のフラッグシップ機といえば10年は生き続ける機種が多かったが、デジタルカメラになってからは技術の進化に合わせて毎年のように新機種が投入され、新機能が続々と追加されている。フラッグシップ機も時代に合わせて短いスパンで投入されている。
同じくニコンからもフラッグシップモデル「D5」のアナウンスがあったが、今年はオリンピックがあるのでどちらもそれを見据えてのものだろう。
今回は発売前の試作機を触ることができたので、外観や機能(ユーザーインターフェース)を中心としたレポートをお送りする。まだテスト機なので画質評価はできないが雰囲気は味わってもらいたい。
一見すると変化のない外観
しかし細かい変更部分が……
見た目は前モデルのEOS-1D Xと大きな違いはなく、ペンタ部の膨らみと機種名を示すロゴくらいでしか区別は付きそうもないが、実際にはインターフェース周りの配置やボタンの大きさなど、かなりの部分が改良されている。
まず、グリップの内側、レンズマウントの左横にファンクションボタンと絞込みボタンが縦に並んでいる。同じようにレンズマウント左下に2つのボタンがあるが、これも同じファンクションボタンと絞り込みボタン。縦位置にカメラを構えた状態でも同じ操作が行なえるようになっている。
それは従来機も同しなのだが、ボタンに段差を設けて触った状態で区別しやすいようになっている。
背面は、EOS-1D Xを使っていた人なら見慣れたインターフェースとなっている。「1D」系以外のキヤノン製デジイチとでは若干動作が違う箇所もあるが、基本操作は同じ。
背面右上のインターフェースと同じ機能のボタンが右下にもあり、こちらも縦位置に構えた場合に同じ操作ができるようになっている。なお、背面モニターはタッチ機能も追加された。
記録メディアはCFカードとCFastカードが使用可能。ただし、お互い形状は似ているが互換性のないメディアなので、カードスロットはデュアル仕様となる。もちろん、同時記録する場合には個別にメディアを用意する必要がある。
なお、高速なCFカード(UDMA7)ではRAWでの連続撮影枚数が73枚だが、CFast2.0のカードでは170枚まで連写が可能になるそうだ。4K/60PやFHD/120Pでの動画撮影でもCFast2.0のカードは必要になってくるだろう。
グリップ形状を初め、ボタンレイアウトや形状の見直しは全体的に使いやすくなるように改良されている印象。特に縦位置で構えた場合の操作性はかなりよくなった印象で、基本的な操作性を変えずに使いやすくしたのは喜ばしい。
カメラ本体は大きく重いが、その分堅牢性は高く、高い剛性感は使っていて安心感を感じる。ボタンやダイヤルの操作一つとっても不安感はなく、カチッとした操作感はやはりフラッグシップモデルだなと改めて感じる。
