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myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画 第2期」 第12回

期待のヒロアカ・文スト、新展開のアイカツ・プリパラ、はいふり・カバネリも話題

安定のジョジョと新作群~変化を予感させる2016年春アニメの二次創作

2016年04月28日 18時00分更新

文● myrmecoleon 編集●村山剛史/ASCII.jp

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市場も投稿者の傾向もよく似たプリパラとアイカツ

 ニコ動とpixivで共通して投稿の多い作品としては上記したジョジョ・くまみこのほか、今回3期を迎える「プリパラ(3rdシーズン)」、前期ヒットのこのすばに続き小説家になろう発で期待される「Re:ゼロから始める異世界生活」などがあります。

 アイドルをテーマにした女児向けトレーディングカードアーケードゲームを原作とする人気アニメとしてはアイカツ!も今期「アイカツスターズ!」として新スタートしました。プリパラ・アイカツとも息の長い人気で、pixivや同人などで二次創作も多い作品です。良い区切りですので、今回はpixivでの両作品の投稿数の推移と投稿者の傾向を見てみました。

 「アイカツ!」は2012年10月に稼働開始したバンダイのデータカードダスを使用したアーケードゲーム。テレビアニメもサンライズの制作で同時期から開始し、アイドルに憧れてスターライト学園に入学した「星宮いちご」たちがアイドル活動「アイカツ」に励み、アイドルとして成長していく様子が描かれました。

 また、2014年の第3部からはいちごたちの後輩新人アイドル「大空あかり」を主人公に彼女らの「アイカツ」が描かれています。今年3月末に最終回を迎え、今月から「アイカツスターズ!」が始まりました。

アニメ「アイカツスターズ!」第1話の公式配信動画。

 「プリパラ」は2014年7月に稼働開始したタカラトミーアーツ・シンソフィア共同開発のアーケードゲーム。2010年稼働の「プリティーリズム」を継承したシステムで、「プリティーリズム」と同じくタツノコプロと韓国DONGWOO A&E制作のテレビアニメが、稼働と同時期から開始しています。ちなみにこの前作「プリティーリズム・レインボーライブ」のスピンアウトが、最近応援上映で話題のキンプリこと、映画「KING OF PRISM by PrettyRhythm」です。

 アニメ「プリパラ」は主人公の少女「真中らぁら」が誰でもアイドルになれるプリパラタウンで仲間とともに神アイドルを目指す物語。今期から子育てなどの新要素が追加された3rdシーズンが開始されました。

アニメ「プリパラ(3rdシーズン)」第1話の公式配信動画。

 両作のイラスト投稿数を比較すると、先行する「アイカツ!」が常に多いものの、2015年はじめをピークに月900前後で安定。一方「プリパラ」は放送開始後に「アイカツ!」初期の数倍のペースで増加、今年に入ってまた拡大しており先月の投稿数では「アイカツ!」に並びました。現状ではほぼ同程度の投稿規模と言っていいでしょう。

「アイカツ!」「プリパラ」関連におけるpixivでの月別投稿数の推移。4月20日調査

 キャラでは、アイカツ!は第1部からのメインキャラ「星宮いちご」「霧矢あおい」、第1部からの「藤堂ユリカ」などがよく描かれ、2015年以降は第3部のメインキャラ「大空あかり」や「氷上スミレ」もよく投稿されています。

 プリパラは主人公「真中らぁら」や「南みれぃ」、男の娘発覚で投稿が増加した「レオナ・ウェスト」、以下「北条そふぃ」「東堂シオン」「ドロシー・ウェスト」などの投稿が多いです。

 いずれもアニメ開始初期はR-18イラストの比率が高かったものの、投稿数が増えるにつれて低下。現在はどちらも5%前後の近い傾向となっています。

 8月・12月のコミケシーズンにR-18率が上がるのは「艦これ」などにも見え、似たような傾向が伺えます。ただし2013年頃はアイカツ!に見られていたこの種の増加が、プリパラ開始後の2014年以降にはなくなっているのは興味深いところ。

 キャラ別ではアイカツ!の「氷上スミレ」や「風沢そら」、プリパラの「レオナ・ウェスト」や「黒須あろま」はR-18イラストの比率が高いようです。

「アイカツ!」「プリパラ」関連におけるpixivでのR-18イラスト比率の推移(月別)。データはグラフ7と同じ。投稿数が10に満たない時期は除外

 女性投稿者の比率はプリパラが約64%、アイカツ!も約55%とプリパラがやや女性が多い程度で似ています。女性が多いpixivとしては男性が多いほうですが、それでも過半数が女性投稿者です。

 投稿者の職業(自己申告)の分布も似ていますが、学生の投稿者をみると後発のプリパラのほうが若干年代が若いようです。ちなみに両タイトルのメインターゲットである小学校低学年女子による投稿もまれですがあります。pixiv内では小学生の投稿者が多い部類のジャンルです。

 このように2作品は類似していますが、「プリパラ」投稿者の2割が「アイカツ!」でも投稿している程度で、両方で投稿しているユーザーはそこまで多くないようです

中国人気のカバネリ R-18投稿の多いネトゲ嫁・ばくおん

 新作オリジナルアニメでは「甲鉄城のカバネリ」がpixivで投稿を伸ばしています。2話以降の放送が熊本地震で延期されましたが、4月3週目ではジョジョ・ヒロアカ・文ストに次いでpixivでの投稿が多い作品で現在も伸びています。

 特徴的なのが海外(主に中国)からの投稿の多さで、6割以上が日本国外の投稿者です(最近国内投稿者が増加。以前は国外が7割でした)。日本ではAmazonプライム・ビデオ独占配信でニコ動での配信はありませんが、中国では複数サービスで公式配信されており、その1つの中国のニコ動的な動画投稿サイト「ビリビリ動画」では放送後150件以上の動画が投稿されるなど、ニコ動以上にヒットしているようです。投稿者は7割が男性、R-18イラストは少なめ。キャラではほぼヒロインの「無名」が描かれており、今回最も多く描かれている女性キャラとなっています。

 ちなみにグラフ5で出ていない4週目では「甲鉄城のカバネリ」が大きく投稿数を増やしています。ニコ動でも増え出しているところのようです。

 ほか海外からの投稿が多かった作品としては「Re:ゼロから始める異世界生活」などがありました(こちらも男性投稿者中心)。

アニメ「甲鉄城のカバネリ」の公式PV。今期ノイタミナ枠。不死の怪物「カバネ」の出現によって蒸気機関の時代のままになった世界で、蒸気機関車に乗ってサバイバルするゾンビもの和風スチームパンク。


 pixivで最も投稿が多かった今期作品のキャラクターは前述の通り、カバネリの「無名」。以下ヒロアカの「爆豪勝己」、くまみこの「雨宿まち」、ヒロアカの「緑谷出久」、文ストの「太宰治」「中島敦」、ジョジョの「東方仗助」、Re:ゼロの「エミリア」など。

 R-18イラストが多かった作品は「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない」「くまみこ」「僕のヒーローアカデミア」「ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?」「ばくおん!!」などが挙げられます。

 特に「ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?」「ばくおん!!」は3割のイラストがR-18となっています。キャラクターごとでは「雨宿まち」、ガンダムUCの「マリーダ・クルス」、ばくおん!!の「鈴乃木凜」、ネトゲ嫁の「玉置亜子」などでR-18イラストが多いです(ただし「マリーダ・クルス」は投稿の多いユーザーがいるためで投稿者自体は少ない)。

オリジナルアニメに新しい動きが目立つ4月アニメの二次創作

 上記の通り、ジョジョがいつも通り堅調にヒットしているほかは、前期同様に新アニメで目立って投稿の多い作品は見られません。

 pixivの女性人気では「僕のヒーローアカデミア」「文豪ストレイドッグス」が順調なスタートを切っており、今後が期待されるところです。

 逆に今回は男性からの投稿が活発でない印象があります。そうしたなかで国外の男性投稿者でヒットをつかんだ新作オリジナルアニメ「甲鉄城のカバネリ」が目立ってきています。

 ニコ動ではやはりオリジナルアニメの「ハイスクール・フリート」がヒット。昨年末からのガルパンブーム(前回紹介)の追い風もあってか、ガルパン・アルペジオ・艦これアニメなどでウケたミリタリーネタのMADがヒットしており、新作では群を抜いています。今回触れていませんがオリジナルアニメではマクロス新作の「マクロスΔ」も比較的投稿があります。

 2016年の3月から4月は、ラブライブ!の「μ's Final LoveLive!」の開催など、アニメ周辺でいろいろと区切りを感じました。今回紹介した「アイカツ!」「プリパラ」が4月から揃って新展開を迎えたのもその1つでしょう。

 昨年末大ヒットしたおそ松さんはまだまだ人気が高いですが、アニメ放送が終わり、さすがに投稿量が落ち始めています。ガルパンやキンプリなどアニメ映画での視聴の新しいかたちも目立ってきたところです。

 アニメ作品の人気やその二次創作は変わっていくでしょう。今後の変化が注目されるところです。

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