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最新ユーザー事例探求 第41回

「サイボウズ ガルーン」徹底使いこなし事例

図書館流通センターが全国442もの拠点で情報共有できたコツ

2016年02月04日 10時00分更新

文● 川島弘之/TECH.ASCII.jp

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全国の図書館同士でコラボ

 ガルーンは、図書館同士のやり取りと本部とのやり取りの両方に使われている。

各図書館からの報告書ページ

 例えば、図書館で実施されたイベント情報が共有されており、「『有名作家を呼んでイベントしました』『講演料はおいくらでお呼びしたんですか?』など結構生々しい話までやり取りされている」(尾園氏)という。

 福島県喜多方市立図書館では、全国の受託運営館からその土地の観光パンフレットを送ってもらい、大きな日本地図にマッピングし、市民に紹介するイベントが開かれた。

 「図書館利用者の中には遠方の観光地に詳しくない方もいらっしゃって、大変好評でした。また、TRCが全国でこんなに図書館運営しているんだと知ってもらえて、宣伝効果もありました」(同氏)

 そのほか、各地の3館連携でそれぞれの地元ラーメンを紹介しあう展示会も開かれた。3館の中には新宿の図書館も参加しており、「東京で自分たちの地元のグルメや文化を紹介してもらえたことがうれしかったと、紹介した自治体にも喜ばれ、5館に拡大するなどの成功事例となりました」(同氏)という。

広島県府中市立図書館で2015年12月にクリスマス特集として実施された「ラッピングブックス」という企画。スタッフがそれぞれにオススメの本を選び、中身がはっきりわからないようなポップをつけて貸出。新しい本との出会いを演出した

ガルーン上でやり取りされたイベントの概要が報告・共有された

イベント事例はTRCのHPにも掲載し、社外にも広く伝える

 ガルーンには、そんな全国のさまざまな事例が掲載されているという。尾園氏は「全国の図書館で情報を共有し、コラボにも発展していく。そういうことができるのもグループウェアならでは」と述べ、メールやFAXとの優位点を強調している。

監査対応やFAQにも活躍

 ガルーンのアカウント数は680ユーザー。442館の受託運営館のほか、図書館に関係の深い部署やユーザーに割り当てている。部署や拠点の垣根を越えて情報共有が行われている形だ。

 利用する機能も掲示板、スケジュール、社内メールなど幅広い。TRCには本社や受託運営館のほか、各地域を取りまとめる支社があり、支社ごとにまとまって個別の動きを取っている。その支社ごとにガルーンのポータルを作りこみ、アクセス権限も厳密に制限しながら運用されている。

アクセス権限も厳密に制限しながら、部署や拠点の垣根を越えて活用している

 ほかにも「人事の強い要望で、労務マニュアルを掲載しています。労務マニュアルは全社員が見られるところに置く必要があるのですが、全国の図書館に正しく置かれているかを確認するだけでも大変です。Web上に集約しておけば、万が一の漏れもなくなり、監査にも対応できるようです」といった用途に活用。

 また、社員教育においてはこんな効果も。「各拠点の新人から質問を一括して受け付けているのですが、質問は大体同じ内容なんですよね。以前はFAXでやり取りしていたのですが、同じ内容を繰り返すのは紙がもったいないので、グループウェア上のFAQを作りました」  

業務に関するFAQ

 徳田氏は「一斉メール」が便利だと語る。同社の受託運営館は2016年も30館ほど追加される予定だ。「とにかく数が多いので、ポータルも系統だって作りこまないと、すぐに本社の方向性や考えが伝わらなくなってしまいます。こういう仕組みがないと徹底するのは難しくて、特に各地の館長スタッフへ所属を指定するだけで、一斉にメールを送信できるようになったのは本当に便利で、重宝しています」

 今後はワークフロー機能の利用も検討するという。ただ「図書館スタッフにはITに詳しくない人も多くて。ワークフローもどうやって入力していいのか、ちゃんと入力されたかと、結局電話で問い合わせがきてしまうこともあります(笑)」(徳田氏)

 いかに「最初の取っ掛かりのハードルを下げるか」が課題だ。「自発的に情報発信してもらうためには、今後も工夫が必要ですね。あればいいなと思うのは、掲示板のいいね!機能です。オンプレミス版には実装されていないのですが、現場からはほしいという声が挙がっています」(同氏)

 最後に、TRCの今後の事業方針について聞いてみた。

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