電子ペーパーという“技”は興味深いが
実際の機能は寂しい……
電子ペーパーだからこそできるこの新しい“技”はテクノロジー的には大変興味深い新しい試みではあるが、実際に表示される文字盤やストラップ柄は、お世辞にも格好良くてセンスがあるとは言えないだろう。これが現在採用している電子ペーパーで表現できる限界なのかもしれないが極めて残念だ。
仲間内で話題をかっさらえるギミック満載のガジェット腕時計は1万円以下でも世界にはたくさんある。真面目に使えるセンスいい国産腕時計なら、もはや2万円以下は当たり前。複雑な流通システムをカットしたとは言え3万円近いFES Watchのポジションは極めて微妙だ。
スタートアップ方式でウェブ上では人気を博したFES Watchではあるが、時刻の常時表示はできない、カレンダー機能はない、電波時計でもない、バッテリー交換はユーザーができない、今後、文字盤種類やストラップ柄は増えない……と、ほとんど無い無いづくしの状況だ。
筆者を含め、先を争ってFES Watchをウェブで購入したのは、失礼な言い方になってしまうが、“ソニーの再起を願って購入した”極めてソニーびいきのありがたいユーザーたちだろう。
筆者も、その昔、初代ウォークマンを発売日に購入し、当時超高額なプロフィールTVもセットで購入。パイオニアではない同じようなソニーのレーザーディスクを購入し、国内初のCDプレーヤーを発売日に購入、そして怪しいメモリースティックを搭載した初代のデジタルウォークマンも購入するなど、時代の先を行く雰囲気満載の魅力的なソニー製品に多くの無駄使いをしてきた。
筆者を含むそんな“ソニー命”だったユーザーの多くが“もう一度あの頃のソニーを”という思いで購入したのだと思う。
柳の下に二匹目のどじょうは間違いなくいないと思うので、もし次世代のFES Watchを発売することがあるなら、ぜひとも心してかかられるようお願いしたいものだ。
今回の衝動買い
アイテム:FES Watch
価格:First Flightにて2万9700円で購入
T教授
日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
T教授も関わるhttp://www.facebook.com/KOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。

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