筆者の極めて狭い周囲で、昨今の流行は“スティック型”の“超小型パソコン”だ。スティック型に拘らることなく、タバコの箱サイズの小型パソコンまで拡大解釈すれば、すでにIBMが10年以上昔に開発し、実用の域に達しているモノもあった。小さなパソコンは、レジェンド商品でエッジ商品ではない。
ここ1年ほどのスティック型のパソコンの相次ぐ発表出荷は、ひとえに巷にHDMI入力端子を標準的に備えた薄型テレビや4Kテレビが普及したために、市場参入リスクが小さくなったからにほかならない。
小さなパソコン登場の背景は、モバイル系の省電力CPUと大容量記憶メモリー、バッテリー技術の進化、そして安くて高速なネットワーク環境の整備だ。
言い換えるなら、スティック型PCは現代のスマートフォンから表示装置である液晶画面と、充電池、キーボード機能を取り外しただけの“引き算設計”のミニマル機器だ。従来の表現に基づいて命名するなら、「HDMIドングルPC」が正しい名前だろう。
10年くらい昔であれば、パソコンのディスプレーが設置された場所でしか活躍範囲のなかったスティック型PCだが、今はちょっとしたビジネスホテルの客室ならどこにでもあるHDMI入力端子付きテレビを活用してパソコンとして便利に使うことができる。
本家インテルが発表した「Intel Compute Stick」(インテル コンピュート スティック)の発売は、この市場の拡大と認知を加速させることになりそうだ。
スマホのような小型パッケージに付属品てんこ盛り
筆者が発売後すぐにオーダーしたIntel Compute Stickはスマートフォンのようなコンパクトなパッケージに収まって出荷されてきた。
パッケージの中には、Intel Compute Stick本体と、専用のUSB/ACアダプター、日本をはじめ世界各国の壁面ACアウトレット対応の変換アダプターが5種類、USB給電ケーブル、HDMIコネクター延長ショートケーブル、安全のための小冊子と導入ガイド、McAfee AntiVirus Plusの1年間のライセンス証書が入っている。
筆者の購入したモデルは、今年春頃からすでに発売されていた同じIntel Compute Stick本体にWindows 10(32bit)をプリロードしたモデルだ(BOXSTCK1A32WFCL)。
基本的なスペックは従来製品と変化なく、CPUがAtom Z3735F(1.33GHz)、メインメモリーが2GB、ストレージが32GB。インターフェースはHDMI出力端子、microSDカードスロット、microUSB端子、USB端子を装備している。
Intel Compute Stick本体は、サイズ的にはマウスコンピュータ製の同様のスティックPCより一回り大きく、昨今話題のAmazon FireTV Stickより2回りほど大きい。
(次ページに続く、「テレビのHDMIに直接差すのは難しいかも!?」

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