NASの中身はほぼPC
だったら拡張してみよう!
前回は、プリンストンが販売するUSB/Thunderbolt接続の高性能ストレージ「Drobo 5D」をMacと組み合わせて活用する方法をご紹介した。続いては同シリーズの「Drobo 5N」の順番となる。この連載でも毎回紹介しているように、Drobo 5Dが1台のパソコン(WindowsやMac)に接続して使用するDAS(Direct Attached Storage)型の製品であるのに対して、Drobo 5NはNAS(Network Attached Storage)型のストレージデバイスである。どちらもHDDを5台内蔵可能で、HDD追加や交換で容量アップを容易に行なえ、高機能でありながら操作が簡単という特徴を持っている。
NASの中身は意外と普通のパソコンに近い。たとえばCPUは、intel x86またはARMアーキテクチャを採用しており、OSもLinuxやBSDなどの汎用OSをベースにカスタマイズしている。Drobo 5Nも、ハードウェアはARMベースのCPUを搭載したコンピューターであり、専用にカスタマイズしたLinuxが載っている。
そういうわけで、汎用OS搭載機ほど自由度が高いわけではないが、Drobo 5Nにもソフトウェアを追加してカスタマイズする仕組みが備わっている。それが、今回のテーマである「Drobo Apps」というわけだ。
Drobo Appsは、Drobo 5NのようなNAS型製品に対応したアプリケーション群だ。Drobo社が提供するソフトウェア開発キット(Software Development Kit、SDK)を用いて開発されている。このSDKは開発者向けフォーラムに登録したDroboユーザーであれば、誰でも無償で入手できる。
留意しておくべきことは、Drobo AppsはDrobo社のサポート対象外である点だ。もちろん、日本国内における代理店であるプリンストンもサポートしていないので、Drobo Appsに関する質問を送って困らせたりしないようにしよう。
どんなDrobo Appsがあるの?
Drobo Appsには、どのようなカテゴリーのアプリケーションが用意されているだろうか。Droboの公式サイトではないが、DroboPortsというサイトに、Drobo 5Nおよび一世代前の製品であるDroboFS用のDrobo Appsがまとめられている(すべてのDrobo Appが網羅されているわけではないことに注意)。見ていくと、だいたい以下の4つの分野のアプリケーションがあるようだ。
・メディアサーバー
・バックアップソリューション
・ファイルダウンロードユーティリティ
・開発ツール、DBなど
「メディアサーバー」は、動画、写真、音楽のデータを一元的に管理して、さまざまな環境から閲覧できるようにしてくれるシステムのことだ。いわゆるNAS製品には、このようなアプリケーションが付属していることが多い。
「バックアップソリューション」は、ここではDrobo内に保存されたデータをクラウド上にバックアップするための仕組みである。Droboシリーズは、BeyondRAIDと呼ばれる技術によって、データを保護する機能を備えており安心感は高い。だが、事故などで壊れる可能性は皆無ではないし、天災や盗難などでDrobo自体がなくなってしまう可能性もある。バックアップが不要になるわけではないのだ。
「ファイルダウンロードユーティリティ」とは、FTPなどの各種プロトコルでネット上のサーバーからファイルをダウンロードしたり、BitTorrentなどのP2Pファイル共有の仕組みを用いるアプリケーションだ。
「開発ツール」というのは曖昧な表現だが、要するにDrobo 5Nを素のLinuxマシンとして扱うためのアプリケーションだと考えてほしい。具体的には、HTTPサーバー(Apache)やSSHサーバー(OpenSSH)といった基本的なデーモン、Perl 5、PHP、Pythonといったプログラミング言語、データベース(MySQL)などが含まれている。このカテゴリーに分類されるアプリケーションは、Drobo Appsの開発者向けといえるだろう。
Drobo Appsそのものが公式のサポートがなかったり、日本語で書かれた情報があまり見当たらなかったりと、わりと難易度は高めなのだが、その中でも開発ツールに属するアプリケーションは、上級者向けである。使い方を誤ると、Drobo 5Nを約4キログラムの巨大な文鎮にしてしまう可能性さえある。
(次ページ、「Drobo AppsはDrobo 5Nから直接インストール」に続く)
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